ロシア艦がソマリア到着まで数日に迫る

2008.10.7



 ソマリア沖の海賊事件について、ロシアのフリゲートが接近し、6隻もの米艦船が近距離にいる以上、白旗を掲げるしかないとmilitary.comが報じました。

 しかし、子供が5歳に届く前に4分の1が死んでしまう、誰もが表を銃を持って歩き、公的機関が崩壊した失敗国家ソマリアでは、何が起こるか分からないと記事は書いています。世界の最貧国の海賊が、装備を調えたスーパーパワーに対してどうするのか?と記事は問うています。

 ソマリアの海賊は資金を持ち、組織化され、武装し、20年間近く、その共同体や政府内のならず者たちの支援を受け、一部の海賊は身代金で得た金を道路建設や学校のために使うと約束してすらいます。海賊はソマリアの最大の経済であり、身代金を受け取らずに人質を傷つけることは滅多にありません。イギリスのシンクタンクによると、今年だけで海賊は3000万ドル以上の身代金を手にしました。ファイナ号に乗り込んでいる海賊スグル・アリは、攻撃を受ければ、最後の一人が死ぬまで戦うと、電話インタビューに答えています。海賊は2000万ドルの身代金を要求しており、値引きされる見込みはありません。アリは、身代金さえ払ってもらえれば、すべて解決だと言います。海賊は特に今年フランス特殊部隊が2回行った急襲について警告しました。この作戦で、フランス軍は暗視ゴーグルやヘリコプターを使った作戦を行い、海賊数名を殺害・逮捕しました。ロシア艦は数日中に現場へ到着します。

 海賊がロシア海軍と対峙するかどうかは不明です。金だけが目的なら、船を放棄して逃げることも考えられます。海賊は、積荷の弾薬や人質がいる部屋に爆薬を仕掛けたとか、突入を防ぐための脅しもしていません。一方、アメリカの特殊部隊が市街戦を余儀なくされた事件を思い出すと、そう簡単に逃げ出すことはないかも知れません。海賊たちはフランス軍が行った作戦を記憶しており、対策を練っているかも知れません。結末は今のところ見えてきません。長期間籠城することも考えられます。海賊たちは、外から食糧を運び込むこともできるでしょう。情報を外部から得ていると、記事には書かれており、周囲の様子も分かっているようです。人質の船員がまだ携帯電話を持っていれば、内部の様子はある程度は分かるでしょう。それがロシア軍の切り札です。しかし、現場の様子は一部しか報じられておらず、状況を判断するのは、今のところ不可能です。


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