military.comによると、上官を殺したとして起訴されているアルベルト・マルチネス二等軍曹(Alberto Martinez)の裁判で、ジェーソン・タルート三等軍曹(Sgt. Jason Taluto)が証言しました。
第42歩兵師団の司令部附き中隊の指揮官フィリップ・エスポージト大尉(Capt. Phillip Esposito)とルイス・アレン中尉(1st Lt. Louis Allen)は、エスポージト大尉のオフィスで地雷が爆発した時に死亡しました(別の記事によると、クレイモア地雷を部屋の外で爆発させたようです)。エスポージト大尉の部下だった補給軍曹のマルチネスが犯人とされました。マルチネスは大尉の指揮に苛立っており、タルートを含む部隊の多くの隊員がそう感じていたと主張しました。
証言に立ったタルート三等軍曹は、2004年のドラム基地(Fort Drum)、2005年のクウェートとイラクで、マルチネスは補給部門の運営で問題を抱え、エスポジート大尉の指揮に苛立っていたと証言しました。タルートはマルチネスから補給品を受け取る時はいつも、彼の不平を聞かされ、それはほとんど必要条件のようなものだったと述べました。2005年の4月か5月に、陸軍はマルチネスとエスポジートがいくつかの補給品を紛失したと認定した時、マルチネスはタルートに、エスポジートを解任するために、彼の父親と5分間話をさせてもらえないかと頼みました。タルートの父親はジョセフ・タルート少将(Maj. Gen. Joseph Taluto)で、事件が起きた時は、第42歩兵師団の指揮官でした。この時、マルチネスがエスポジートを殺したいと言うのを聞いたと、タルートは証言しました。この数ヶ月後に事件は起こりました。
他に、もうひとりの証言も記事に書かれていて、それも重要ですが、ここでは省略します。
要約すると、上司と折り合いの悪い部下が、上司に殺意を抱き、上司の上司の息子である同僚に殺意をほのめかし、遂に殺害を実行したということのようです。
前に、戦闘部隊で上官殺しがありましたが、今度は管理部隊です。おそらく、エスポジート大尉は中隊長として、部下に人気のない人だったのでしょう。マルチネスは少将と話したいと考えていたのですから、その主張は正当性があるものだったと考えられます。米軍では、こうした場合、転属願いを出せることになっています。マルチネスが、その制度を利用しなかった理由は不明です。上司は転属願いを拒むことはできません。上官を2人も殺したら、よほどの理由がないかぎりは死刑は免れません。怒りを行動で示すよりは、転属した方がよかったはずです。記事にはマルチネスの性格に関する情報は少なく、彼の性格上の問題かどうかは分かりません。この事件の内容は、被害者に対する犯人の憎悪の強さを連想させます。マルチネスの怒りがあまりにも大きかったのか、彼の性格が攻撃的すぎたのかは不明です。
余談ですが、米軍の俗語「frag」は破片手榴弾を意味する「fragmentation grenade」に由来し、嫌な上官や同僚に手榴弾を投げつけて殺すことを意味します。このため、この事件を「fragging case」と書く記事もあります。