イラクの内閣がアメリカとの安保協定を承認したことで、イラク議会で審議が始まりました。military.comがその様子を伝えています。
隣国イランの司法長官アヤトラ・マハムード・ハシェミ・シェロウディ(Ayatollah Mahmoud Hashemi Shahroudi)は、この協定を支持しています。しかし、イランの日刊紙ジョムリ・エ・イスラミ(Jomhuri-e-Eslami)は、イラク政府がアメリカに降伏したと書きました。シリアはアメリカの事実上の降伏だと批判しています。評決は11月24日に行われる予定です。この合意が成立すれば、米軍は来年6月までにイラクの都市部から撤退し、米兵と民間軍事会社の社員が、非番の最中に基地外で重大な犯罪を犯した場合の裁判権がイラクに認められます。最終的にはアメリカが譲歩し、都市部からの撤退期限の曖昧な表現が明確化され、裁判所の命令なしに米軍が家宅捜索を行うことを禁じる条項が盛り込まれました。また、1年間の猶予を与えれば、双方が協定を無効にすることができます。
この記事には、議会が合意を承認するという見通しについては何も書かれていません。また、単に承認の是非だけでなく、関連するコメントが聞きたいものです。肝心な情報が抜けているということは、イラク国内の情勢は外国メディアには取材しがたいということです。他の国なら、政治家は益があると認めればインタビューに応じますが、イラクの議員からはほとんど声があがらず、政党の代表者の声が時折聞こえればよいくらいです。こうした重要な情報が表に出てこないのは、とても危険なことです。
この合意については、イラク政府の粘り勝ちだったようです。これくらいは認めないとイラク国民も納得しません。アメリカも時間的な余裕を保持した上で合意したいわけですから、これくらいの時期が適当だったかも知れません。また、サドル師が合意に反対し、テロを予告していることから、そうした以降をある程度は和らげる効果が期待できます。