米パが国境を挟んで共同作戦

2008.11.20



 space-war.comによれば、米軍はパキスタン軍とアフガニスタン国境の両側で、「ライオンハート作戦(Operation Lionheart)」と呼ばれる共同作戦を開始しました。

 パキスタンのバジョール州(BajaurまたはBajur・kmzファイル)とアフガニスタンのクナール州は国境を隔てて隣り合っています。クナール州にはクナール川(Kunar River・kmzファイル)が流れており、北部でバジョール州に入り込んでいます。御存知のように、パキスタン軍はバジョール州で掃討作戦を続けており、武装勢力が山間の小道を使ってクナール州に逃れてきます。米軍はそうしたルートの掃討を行っています。現在、この地域には約3,000人が配備されていますが、来年早々に1個旅団と第10山岳師団が到着します。

 共同作戦といっても、同じ場所で活動するのではなく、別々の場所で、戦術情報だけを共有するということです。パキスタン軍は現在行っている作戦について、武装勢力の一団がどちらの方面へ逃走したといった情報を米軍に連絡します。すると、米軍はその情報に基づき、武装勢力が逃げてきそうな場所で待ち伏せをするわけです。つい最近まで、米軍が越境すると発砲していたパキスタン軍ですから、いますぐに共同作戦は行えません。いずれは実現するかも知れないとしても、現在はこの段階だということです。

 パキスタン政府は無人攻撃機による空爆は黙認する意向と判明しましたが、8月に始まっていたパキスタン軍による掃討作戦よりかなり遅れてスタートしたのは、パキスタン政府との調整に手間取ったためでしょう。米軍が国境付近に近づいた時、越境していない場合でもパキスタン軍の発砲を受けた事例がありますから、その種のトラブルを防ぐための交渉が必要だったのだと思われます。こうした国境両側での掃討作戦が数ヶ月は継続され、その成果を見て、また新しい決定が成されることになります。


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