グルジア紛争に関して、とても興味深い報道が出てきました。space-war.comによると、ロシアがアフガニスタンに向けて輸送されるドイツ軍の装備品が自国領内を通過することを認めました。
ロシアは今年4月に、フランスやドイツのようなNATO諸国がアフガニスタンで活動するために用いる非軍事的な物資が自国領内を通過することを認めていました。この問題は、10月2日にサンクト・ペテルブルクで、ドミトリー・メドべージェフ(Dmitry Medvedev)とアンジェラ・メルケル(Angela Merkel)の間で議論されました。
8月に起きたグルジア紛争の休戦交渉がまだ流動的な間に、両国間で武器の輸送に関する取り決めが行われたことは驚きです。10月15日に休戦会議を控えた時期でも、両国がこうした話し合いができたことに注目すべきです。これは、グルジア紛争を拡大したくないという両国の意志の表れです。
以前に説明したように、グルジア国境には険しいコーカサス山脈が連なり、道路なくしてロシアはグルジアに侵入できません。もし、グルジア紛争が激化して、全面的な対決が始まった場合、ロシアはグルジア領内に送り込んだロシア軍の補給ルートを簡単に遮断されかねないのです。ところが、普通ならロシアの弱点となることが、関係国にとって紛争拡大を防ぐポイントとなっています。ロシアは何か行動を起こして、自分たちの正当性を示すしかなくなり、それには大戦争に一気に拡大する恐れがあります。だから、関係国は紛争の負荷をお互いの顔を見ながら、調整し合っています。これには「グルジア紛争のジレンマ」と名づけてよさそうです。もし、グルジア国境が平地で、近代的な陸軍の侵攻に支障がない地形だったら、この紛争がどうなったかを考えてみるのは興味深い検討です。
こんな風に、武力紛争には地形の影響を強く受けます。どの国も地形を分析して、戦争がどのように進展するかを評価し、それに基づいて行動します。当サイトで、Google Earthなどを用いて、地形に目を向けて頂いているわけです。