「イラクの自由作戦」経験者6人が当選

2008.11.8



 military.comによると、大統領選挙と同時に行われた議会選挙で、イラクの自由作戦に参加した退役軍人6人が当選しました。

 2006年の米議会には、この作戦を経験した退役軍人は、2003〜2004年に第82空挺師団の法務官として勤務した元大尉、パトリック・マーフィ下院議員(Rep. Patrick Murphy・民主党・ペンシルベニア州選出)だけでした。彼は今回の選挙で、海兵隊出身の候補に大差で勝ちました。

 リンゼイ・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham・共和党・サウスカロライナ州選出)は、空軍予備役の大佐として、2007年に2度の派遣で1ヶ月以上、イラクで勤務しました。

 オハイオ州には2人の議員がおり、州軍中佐のスティーブ・スタイバース上院議員(Sen. Steve Stivers・共和党)は4年前にイラクに1回派遣された経験を持ちます。ジョン・ボッチエリ上院議員(Sen. John Boccieri・民主党)は空軍予備役の少佐で、イラクへの飛行任務で4回派遣されました。

 ダンカン・D・ハンター上院議員(Sen. Duncan D. Hunter・共和党・カルフォルニア州選出)は父親の議席を引き継ぐ形で当選しました。彼は2003年〜2004年にイラク、2006年にはアフガンに、海兵隊員として勤務し、6年間の軍歴を持ちます。

 マイク・コフマン上院議員(Sen. Mike Coffman・共和党・コロラド州選出)は、陸軍と海兵隊、予備役で合計20年間の軍歴を持ち、1999年に政界に入りました。しかし、2005年に海兵隊に再志願して、イラクの選挙を支援するために派遣されました。

 不朽の自由作戦に参加した退役軍人で当選したのは、クリス・カーニー下院議員(Rep. Chris Carney・民主・ペンシルベニア州選出)、ジョー・セスタック下院議員(Rep. Joe Sestak・民主党・ペンシルベニア州選出)、ティム・ワルツ下院議員(Rep. Tim Walz・民主党・ミネソタ州)です。彼らは、海外派遣の経験を持ちますが、アフガンに配置されたことはありません。

 これは驚きですね。2006年には民主党から軍人が多く立候補しましたが、今年はその流れが共和党に流れたようです。

 なお、ブッシュ政権も、任期切れに向けて、変化を見せています。military.comによると、ブッシュ大統領が2009年にアフガニスタンの米軍兵力を増強する見込みです。しかし、記事は、間もなく任期が切れるブッシュ政権が方針を変更するのは遅すぎたが、次期政権に向けてロードマップを提供しようとしていると書いています。

 ブッシュ政権はアフガン駐留米軍指揮官、デビッド・マッキアナン大将(Gen. David McKiernan)の要請に応じ、約20,000人を増員するつもりです。この転換は12月までに発表される予定です。バラック・オバマは、少なくとも2〜3個旅団をアフガンに派遣し、非軍事の支援とアフガン軍の増強を主張しています。

 普通、1個旅団の兵数は3,500〜4,000人ですから、明らかにオバマ案のオリジナル性を薄めようという狙いがあります。もっとも、これくらいの策略はアメリカの政治では当然のことなので、大した話ではありません。

 さらに、他の記事によると、イラクから今月2個旅団が撤退します。今月、第101空挺師団の2個旅団が撤退しますが、交替が来るのは1個旅団だけです。第3旅団は今月撤退する予定でしたが、第2旅団は来年2月に撤退するはずでした。

 状況はどんどん変化しています。しかし、こういう時期はマスコミも事態の評価を慎重にするので、気がついたら、すでに事態が大きく変わっていたということもあり得ます。だから、些細なことも注意して見ていく必要があります。


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