アフガン補給路をタリバンが保護?!

2008.12.13



 パキスタンからアフガニスタンへ送られる補給物資の隊列が、最近襲撃された事件について、衝撃的な報道がありました。military.comによると、輸送を請け負った現地の会社がタリバンに金を払って保護を受けている可能性があります。

 「The Times」によると、連合軍と契約して輸送を請け負っている多国籍企業は現地の企業に業務を下請けさせ、彼らがタリバンに保護を申し出て、金を支払っています。こうした会社の隊列は攻撃されていません。このため、ある輸入業者は燃料のために支払われる費用の25%がタリバンに渡っていると推定しています。命が危険になるために匿名を希望した複数の燃料輸入会社、トラック運送会社、警備会社のオーナーにより、金の支払いが確認されました。現在、米軍とNATOのアフガンへの補給は80〜90%がパキスタンを経由しています。NATOは他のルートも検討しており、ロシアと中央アジア諸国を通る北部ルートが候補にあがっています。ロシアは合意しましたが、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタンとの交渉は進行中です。

 この問題はこの記事だけで終わるべきではなく、もっと詳細が調査される必要があります。25%という数字はまったく大ざっぱな数字で、本当にこれだけの金がタリバンに流れているのかは、慎重に評価されなければなりません。事実なら、打破すると言っている相手に金を渡して保護されているという、本末転倒も甚だしい話になります。

 また、このことはグルジア問題にも関係します。アメリカはアフガン作戦のためにロシアの協力を必要としています。ロシアはアメリカとNATOに恩を売ることで、他分野での対立に保険をかけることができます。グルジアの問題をこれ以上こじらせないために、海賊問題は利用できるわけです。ここに、グルジア問題が膠着化する理由があります。この紛争は一方の全面的な勝利に決着するのではなく、微妙な利害関係の上に膠着化、長期化するのです。


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