6月末以降、若干の米軍が都市部に残留か

2008.12.16



 military.comによれば、連合軍指揮官レイモンド・オディエルノ大将(Gen. Raymond Odierno)が、来年6月30日にイラクの都市から米軍が撤退した後も、若干の兵士は都市部に残留するだろうと述べました。

 訓練と教育のチームはイラク軍と警察を支援するために都市部の基地に残留します。オディエルノ大将はその人数については述べませんでしたが、場所はイラク政府と調整すると述べました。2011年末までには、すべての米軍がイラクから撤退します。イラクの主席政府報道官アリ・ダバー(Ali al-Dabbagh)は、2011年以降も一部の米軍がイラク軍を訓練するためにイラクに残留するかもしれないと発言し、物議を醸しました。ダバーはイラク軍は3年では整備できず、10年かかるかも知れないと述べ、それが必要なら交渉が必要だと述べました。ヌーリ・マリキ首相(Prime Minister Nouri al-Maliki)は、ダバーの発言は個人的見解だと否定しました。ダバーの発言はイラクで広く報道され、批判を浴びました。スンニ派政治家やムクタダ・サドル師(Muqtada al-Sadr)は、ダバーの発言は撤退期限を無意味にするものだと批判しました。

 2011年末以降、米軍がイラク軍の訓練のためにイラクにいたとしても特に不思議ではありません。多分、若干の部隊が残留するはずです。しかし、現段階でそれを公言されると、イラク国民は不安がります。マリキ首相がダバー報道官の発言を否定したのは当然で、これは立場による言動の違いと言えます。

 ところで、イラクを訪問したブッシュ大統領が、記者会見場で記者から靴を投げつけられた珍事について、military.comが報じています。事件を起こした記者の名前はムンタドル・アル・ゼイディ(Muntadar al-Zeidi)で、エジプトのカイロに拠点を置く、イラク資本のバグダディヤ・テレビ(Al-Baghdadia television)の特派員です。彼は逮捕され、アルコールと薬物の検査を受けています。記事は、靴を人に投げつけるのはイラクの文化では軽蔑の印だと書いています。つまり、2003年にバグダッドのフセイン像が引き倒された時、人びとが靴で増を叩いていたのと同じです。イラクのサドルシティでは、サドル師の支持者たちがゼイディを釈放するよう要求しました。イラク政府はバグダディヤ・テレビに謝罪放送を求めています。事件後、ブッシュはアフガニスタンのバグラム空軍基地(Bagram Air Base・kmzファイル)へ行きましたが、ここの記者会見場で記者たちがブッシュに靴を投げようかと冗談を言い合っていたと記事は書いています。


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