ブッシュに靴を投げたゼイディ記者の続報

2008.12.20



 記者会見場でブッシュ大統領に靴を投げつけたムンタドル・アル・ゼイディ(Muntadar al-Zeidi)の続報をmilitary.comが報じました。

 この事件の捜査官ディア・アル・キナニ(Dhia al-Kinani)によれば、ゼイディは逮捕される時の乱闘で、顔と目に打撲傷を追いました。事件以来、デイディは拘留されており、家族や弁護士とも面会していません。このため、彼の兄弟の一人ウダイ(Uday)は、デイディが拷問されていると主張します。キナニによれば、事件はまだ調査中です。サウジアラビア人が靴に1千万ドルを提供し、イランの聖職者は靴を博物館に展示することを提案しましたが、靴は爆発物を確認する過程で破壊されました。

 ブッシュ大統領とマリキ首相は起訴を求めませんでしたが、裁判は逃れることはできません。ゼイディは外国の指導者を侮辱した罪で、最高禁固2年間が問われると予想されています。ゼイディはマリキ首相に謝罪の手紙を欠いたと発表されましたが、ゼイディの兄弟は手紙は模造品だと主張しています。マリキ首相はタラバニ大統領にデイディの恩赦を求めることができますが、それは有罪判決が出た後になります。マリキ首相が恩赦を決定する可能性は高いのですが、今のところは発表されていません。調査は日曜に完了して刑事裁判所に送られ、その後、公判の日程が7〜10日間で決定される見込みです。

 金曜日に、サドルシティでゼイディの釈放を要求して、再びデモが行われ、礼拝で聖職者が彼の生命が守られ、釈放されなければならないと信者に説教をしました。デモはイラク南部のキューファ(Kufa)、ロンドンでも起こりました。また、パレスチナ自治区であるヨルダン川西岸ビリン村(Bilin)では、金曜日に行われる週に1度の抗議活動で、いつもは石がイスラエル兵に投げつけられるのに、この日は靴が投げられました。ヨルダン川西岸の大きな一族の族長アマッド・サリン・ジャデー(Ahmad Salim Judeh)は、ゼイディに花嫁として、その資格のある女性を提供し、500人の一族が裁判費用30,000ドルを集めたと述べました。

 「靴投げ事件」は象徴的な事件となり、大きな反響を巻き起こしました。この事件はイラク侵攻を最も分かりやすく説明するものとして、長く記憶されることになります。ゼイディの処分がどうなるかも注目されます。起訴しなければ、イラク政府が靴投げを黙認した格好になりますし、厳罰にすればイラク国民の反発を招きます。また、イラク以外の中東諸国からの支持も失いかねません。ゼイディが書いたとされる謝罪文は、事件をできるだけ小さく収めるための工夫かも知れません。イラク政府が謝罪を受け入れた形にして、処分は軽く済ませるというシナリオです。ゼイディの家族が心配しているような拷問は行われていないと想像します。今の段階で面会を許可すると、さらなる政治的なメッセージが発せられる恐れがあり、そのために隔離していると考えるべきです。監視役の警察官たちも、ゼイディに厳しくあたる理由は特にないように思われます。反響が大きかったことを考えると、イラク政府は厳しい処分は下さないと思われるのです。


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