military.comによれば、イラク大使ライアン・クロッカー(Ryan Crocker)が、アメリカは戦闘部隊をイラクに2009年まで配備し続けるよう計画していると述べました。また、彼は全面的な撤退の期日は示しませんでした。
しかし、次の大統領が民主党から出た場合、計画の変更には全力を尽くすとも述べています。クロッカー大使は状況ベースの撤退と呼ぶ計画に基づいて動いています。この記事は長い割には、これまでいわれていたことの繰り返しに終始しています。2009年の夏に、状況が好転して、退却しても問題ないとなる可能性はかなり小さいといえます。アルカイダはイラクから姿を消したわけではなく、その気になれば爆弾テロをやる力を持っています。外国の軍隊に対する攻撃は減っていますが、イラク人への攻撃はまだ十分な数を持っています。アルカイダにはイラクで活動を止める理由がありません。マハディ軍が今後どう動くかも分かっていません。
クロッカー大使の言には、イラク駐留がどうしても必要だという意志が感じられません。発言には、ボスの言うとおりに行動する有能な官僚という印象はあるものの、国土が危険だという強い危機感は感じられません。結局のところ、イラク駐留がアメリカ本土を守っているという話が成り立たなくなっているのです。もし、アフガニスタンに米軍を集中し、国際的な対テロの枠組みを確立できていれば、現状はもっと期待が持てるものになったでしょう。特に、中東諸国との協力体制は新たに確立されたというよりは、湾岸戦争以来の成り行きで続いているだけに見えます。軍事戦略は、あらゆる手段で敵を追いつめていくものですが、現在の対テロ戦略はなし崩し的にテロが起きたところへ軍隊を派遣し続けるコンセプトで、最も避けるべき「兵力の逐次投入」と変わらない状態になっています。努力していれば、いずれは状況は好転するという楽観論は、特に軍事に関しては避けるべき考え方です。イラク駐留について考えると、いつもこのことに想いが向きます。