前回、ここで「まだ先の物語がありそう」と書いたバークレー市の海兵隊の徴募事務所への圧力に関して、やはり反動が起こっています。military.comが、ガイ・ヒューストン下院議員(Guy Houston 共和党・サンラモン選出)らがバークレー市から多額の連邦予算を引き上げる法案を提示したことを報じました。
ヒューストン議員の法案は連邦予算で330万ドル以上をバークレー市から取り上げる内容です。2008年に共和党上院議員が提案した、市から200万ドル以上を引き揚げて海兵隊に与えるセンパー・フィ法(the Semper Fi Act)に似ているということです。「Semper Fi」は「Semper fidelis」の略語で、「常に忠実であれ」という海兵隊用語です。映画「フルメタル・ジャケット」の中でセリフとして登場しているのを知っている人もいるかも知れません。ヒューストン議員は、「私はバークレー市が合衆国海兵隊に対して宣戦布告したのに、黙って見ているわけにはいかない。海兵隊と軍のすべての部門は、我々の選挙で選ばれた公人から、軽蔑ではなく尊敬を受けるに値する。これは我が軍で国に仕えている男女に関する問題ではないことを明白にしておきたい。私は米陸軍の退役大尉であり、国に仕える人びとの選択を尊重する。私は市議会が意図した言葉は、我々のこうした軍隊への奉仕に対する敬意と支援と、我々のイラク戦争政策への反対とを、十分に区別していないこともまた理解している。」と述べています。
当然こうなることは予測できました。連邦議員は常に軍隊への敬意を表明しないとやっていけない仕事であり、先進的すぎるともいわれるバークレー市との間に悶着が起きないわけはありません。この種の議論は感情的になりがちで、最後には「国を守るのが嫌なら、この国から出て行け」というセリフが出るのが常です。こうした議論が不毛なのは言うまでもありません。反戦団体のほとんどは反政府団体ではなく、戦争そのものに反対している場合が多いのです。この問題自体はそれほど大きくありませんが、銃後で起きがちな騒動について考えるには格好の素材となります。
この問題はまだ先へと続きそうです。しかし、騒ぎをよそに、海兵隊はバークレー市の徴募事務所を移転させる予定はないとしています。