military.comによれば、昨年から裁判が続いていた、米軍の狙撃兵がイラクの民間人を射殺した事件で、エヴァン・ヴェラ三等軍曹(Sgt. Evan Vela)が禁固10年と決まりました。
ヴェラ軍曹は、非計画的な殺人を行ったこと、殺した男の脇にAK-47小銃を置くのを援助したこと、軍の調査官に嘘をついたことで有罪とされました。終身刑を宣告されていましたが、有期刑で済んだのです。しかし、当然ですが、彼は不名誉除隊となります。これまで、ジョージ・サンドバル・Jr技術兵(Spec. Jorge Sandoval Jr.)は無罪、マイケル・A・ヘンズレイ三等軍曹(Sgt. Michael A. Hensley)は有罪で、ヴェラ軍曹は最も重い罪状のため、裁判も最後になったようです。
ヴェラ三等軍曹の弁護士は、彼ら狙撃兵たちは、怪しげなもので標的をおびき寄せる命令を受けていたと主張しました。これは起爆コードのようなものを置き、拾い上げた者を狙撃する戦術を意味します。米軍は、戦場で用いる戦術について口にしないことを理由に、こうした命令が存在したかどうかを回答することを拒否しました。もっとも、この事件は弁護士が主張した状況とは少し違うようです。息子を連れた父親が起爆コードを拾ったので、米兵士は二人を拘束しました。兵士たちは息子は解放したけども、父親が物音を立てて、近くにいる(軍に入隊できる年齢の)男たちの注意を惹きつけようとしたので殺害したのです。弁護士は事件には兵士たちの疲労も関係していると主張しました。
これでこの事件には一区切りつきました。餌をつかって標的を集める方法は、軍の教範には書いていないでしょうが、戦場では当たり前に使われていたのでしょう。手元にある米海兵隊の狙撃兵教範に載っているのは、装備品の使い方や練習方法などの技術的な事柄だけで、成績を上げるために標的を集める方法は書かれていません。しかし、非公式にはこういう方法が用いられていたのだと考える方が自然です。軍は狙撃兵たちを見捨てたのも同然です。軍人も組織に依存し切って行動していると、こういう目に遭うということです。周囲が問題ないと考えていても、特定の軍事行動が法に触れる場合があることを、軍人たちはもっと自覚すべきなのです。