彼らが帰ってきます。昨年8月、アル・サドル師の民兵組織マハディ軍は半年間の休戦を宣言しました。今月末にその休戦が終了する予定なのですが、military.comによれば、ムクタダ・アル・サドル師(Muqtada al - Sadr)はイラク政府が要求を認めなければ、今週末にも休戦を終了させると主張しています。
サドル師の要求とは、現在進行しているイラク軍の取り締まりに、マハディ軍のライバルである民兵組織、バドル旅団(the Badr Brigade)のメンバーが参加しており、彼らをイラク軍から追放することです。バドル旅団とマハディ軍は石油が豊富なイラク南部を巡って争っています。サドル師はイラク軍に潜り込んだバドル旅団を犯罪組織と呼び、追放することを要求しているのです。何らかの対応が取られなければ、サドル師は23日に命令を更新せず、マハディ軍のメンバーは活動を再開するというのです。
いずれにしても、停戦は今月末には解けるのです。この脅迫が問題というよりは、マハディ軍が休戦を止めたあとこそ問題です。マハディ軍とバトル旅団の抗争や、その他のテロ攻撃が増え、米軍の増派による効果が失われる恐れがあります。イラクの治安が悪化すれば、イラクからパキスタンまで不安定な地域が続き、その間にイランがあるという危険な構造が生まれます。そうなれば、ますますアメリカ国民は大きな変化が必要と考え、最初からイラク侵攻に反対していたバラック・オバマ議員が大統領になる可能性が高まるという副産物も生まれます。これだけ戦域が拡がると、米軍にはもうどうしようもありません。NATO軍などが連携することを考慮しても、対応は困難です。もはや、戦略の誤りは修復しようがないところまで大きくなります。
マハディ軍が休戦中にどうやってならず者を排除したかについて書いているワシントン・ポストの記事も非常に参考になります。人員を整理した結果、マハディ軍のメンバーが100,000人になったというサドル側近の証言には驚かされます。