ワシントン・ポストが、国政選挙が終わったあとのパキスタンの模様を報じました。
パキスタン北西部で活動するタリバン派の武装勢力は、先日の選挙で勝った側との対話を望んでいるといいます。選挙の結果は、ムシャラフ大統領のアメリカとの協力態勢に対して、パキスタン国民が拒絶を示したとみなされています。武装勢力はムシャラフ政権との交渉が困難だったので、今は好機と考えているのでしょう。これまでもパキスタン軍部内には、アルカイダやタリバンに同調する向きがありました。それを政界にも拡げたいのでしょう。
共和党国際研究所(International Republican Institute)が1月19〜29日に行った世論調査によれば、3,845人のパキスタン人の4分の3がイスラム原理主義者を深刻な問題だと考えています。しかし、そのためにアメリカと協力すべきだと考える人は9%に過ぎませんでした。選挙前にすでにパキスタン国民はタリバンやアルカイダを自力で対処する方向で考えが一致していたようです。タリバンもまた、そうしたパキスタン国民と交渉を持ちたがっています。この交渉は我々の常識での交渉ではなく、イスラム式の交渉である点に注意しなければなりません。一方で、アメリカは対テロ戦争という枠組みで問題を捉えています。有力な大統領候補バラック・オバマはパキスタンに米軍を送ると公約しており、彼が当選すれば、武装勢力とパキスタンの政治家が交渉をするのをアメリカは好まないでしょう。この意識のギャップが今後問題として浮上してきます。
日本がこうした難しい問題をまったく意識せずに補給艦と護衛艦を派遣し、対テロ戦争に参加している気分になっているのは本当に問題です。敗戦の悪影響を未だに引きずっているとしか思えません。いつになったら、日本は自発的な国防政策を持ち、真の意味で国際平和に貢献できるようになるのでしょうか。