防衛省と大臣が情報隠蔽を共謀

2008.2.27



 「あたご」の航海長が衝突事故後6時間後の19日午前10時頃、市ヶ谷の海幕で約1時間にわたり事情を聞かれ、事故の状況を報告したことが報道により判明しました。さらに、大臣室で石破茂防衛大臣にも報告したといいます。この事情聴取について、防衛省は「事前に海保の許可を受けていた」と主張していますが、海保の第3管区「防衛省側から聴取の連絡を受けたのは聴取後だった」と主張し、両者の意見が食い違っています。

 この段階で、レーダー探知に関する状況も報告されたと見るのが当然ですが、記事にはそのことは書かれておらず、見張りに関することだけが書かれています。この記事は明らかに事実を半分しか伝えていません。

 石破大臣は19日午前にはレーダーに関する状況を知っていたにも関わらず、そのことを海自と足並みを揃えて伏せていたことになります。レーダーが事故のかなり前から漁船団を探知していたことは海自として公表しがたいことなのです。そこへ海保の捜査上の理由という都合のよい事情が生じたので、これを利用することで問題を回避できることに誰かが気がついたのです。

 この事情聴取の是非よりも、都合のよい情報だけしか公にしようとしない点で、大臣も海自と同じだと問題視せざるを得ず、情報を開示すると言い続けてきた石破大臣に強い不信感を持たざるを得ません。「情報隠蔽があれば辞任すべき」「退路は断っている」と言ったのは、大向こうの受けを狙った嘘だったのです。彼は情報を隠蔽する腹で勝浦港へ謝罪に行ったのです。これが石破大臣の政治家としての限界と判断し、今後、彼の政治活動を評価する上でのポイントとして記憶することになります。

 これが実戦だったらどうなるのでしょうか。実戦では友軍や民間人への誤射を含んだ問題が当たり前に起こるものです。防衛省がそうした問題も隠蔽するのだということを、今回の事件は証明してしまったということです。この衝突事件は防衛問題でも何でもない海難事故であることが、すでに脇へ押しやられています。


 本日は他にも興味深い記事がありますが、時間がないので明日書こうと思います。



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