以前に、米軍の統合参謀本部議長マイケル・マレン海軍大将が上院軍事委員会で、米軍が強いストレス下にあることを認めた記事を紹介しました(記事はこちら)。今度は、米陸軍参謀総長ジョージ・ケーシー大将(Gen. George Casey)が上院軍事委員会で、兵士の派遣期間を15ヶ月から12ヶ月へ短縮しあとは、再び派遣期間を15ヶ月に戻すことはないと明言したとmilitary.comが報じました。
今回も、やはり予算の獲得に関する議論の中で、政治家の質問に答える形で発言が飛び出しました。「6年強通じた戦争の累積効果は、現在の戦闘によって浪費されて我が軍のバランスが崩れたままにし、完全志願制の我が軍を適切に安定させ、不確実な未来に備えて我々が適応性を取り戻すのに必要だと我らが知ることをできなくしている。」とケーシー大将は言いました。さらに、7月までに派遣期間の短縮を実施できると言いました。
民主党のカール・レヴィン上院議員(Sen. Carl Levin)が、7月に派遣期間を短縮したあと、それを維持できるのかと尋ねると、それを休止することも可能だと述べました。レヴィン議員が休止期間の長さは別として、間違いないかと念押しするとケーシー大将は「はい」と答えました。陸軍長官ピーター・グレン(Army Secretary Pete Geren)は、陸軍は7月までに予算を使い果たすので、1,000億ドルの戦費法案を通して欲しいと主張しました。議会調査局は必要性の薄い予算を節約すれば8、9月まで予算が保つと説明しています。しかし、グレン長官は、それは非能率的で主要なプログラムを中断させることになると反論しています。
この公聴会は、120日以内にイラク戦争の予算を打ち切るかどうかを決める議決のために行われました。議決が可決される可能性は低いと見られていますが、議員たちにとっては、イラク戦争に対する考え方を表明するのに、この場は最適です。そこでケーシー大将は、空手形でもよいから、派遣期間をまた延ばすことはないと言っているのです。状況が変われば、派遣期間は再延長することになりますが、その時には「議会で発言した時には予期できない事態に、状況が変化した」と言えば済むことなので、この発言はその程度と受け取るべきです。本来、イラクの治安をさらに安定させる方策を述べて予算を要求するべきところですが、それが無理なので、派遣期間の短縮という餌を議員に与えていると読むべきです。もはや、こういう状況まで来ているのです。
皮肉にも、今日、military.comは、イラクに派遣されるのを避けるため、友人に自分の太ももを銃で撃ってもらい、強盗に襲われたと装った陸軍兵士の話も報じています。