トルコ軍がイラク北部から撤退

2008.3.1



 military.comによると、イラク北部に進攻していたトルコ軍が撤退しました。トルコはこの決定に外国の影響は影響を及ぼしていないとしています。

 トルコ軍兵士を乗せた少なくとも200両のトラックが、トルコ領内へ戻るのが目撃されました。この動きは、アメリカのロバート・ゲーツ国防長官がトルコ指導者を訪問し、できるだけ早くに退却するように求めた翌日に行われました。この作戦は一週間ほど続き、ザップ地方(Zap region)にいる約300人のPKK兵士を狙い、約240人を殺害しました。トルコ軍の戦死者は27人だったとされています。トルコ軍は、これですべてのテロリストを殲滅したわけではないが、彼らがこの地域を踏み切り版として使うことを防いだと発表しました。

 トラックは民間用も含まれていたといいます。また、目撃されたトラックがすべてかどうかは分かりません。200台のトラックは1個師団の3分の1程度の数ですから、補給物資用のトラックが、この数に含まれていない場合、ざっと見てこれくらいの兵数が作戦に関与したのかも知れません。また、同じトラックを数えた可能性もあるので、数字の信頼性は幅を持たせて考えなければなりません。

 どう見ても、アメリカがトルコにイラク領内から出ろと言ったので、トルコがそれを受け入れたとしか思えません。300人を標的とみなして240人を殺害したのなら、作戦は成功だったと言えますが、ゲーツ長官が何かおみやげを持っていき、トルコがそれを攻撃を続ける以上に価値があると考えたというのが真相でしょう。PKKからも、そうした観測が出ています。しかし、そんな利益誘導にのるのは賢明ではないというのが軍事の一般的な考え方です。作戦開始の時期も疑問ですが、終わる時期にも疑問が残ります。PKKは早速、攻撃された基地を再建し、物資の集積を再開するでしょう。この戦いは、PKKに部分的なダメージしか与えなかったと考えられます。

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