遂に、イラク戦の戦費が初期の3倍へ

2008.3.11



 military.comによると、ノーベル賞受賞の経済学者ジョセフ・E・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz)とリンダ・J・ビルメス(Linda J. Bilmes)が新刊書「The Three Trillion Dollar War」の中で、イラクでの月当たりの戦費が初期の3倍、120億ドルに達したことを明らかにしました。

 2008年以降、「最良のケース」と「現実的で穏健な」シナリオの場合、2017年までの年間予算は1.7兆〜2.7兆ドルの間か、それ以上になると予測されます。これらの費用を支払うための借入に8,160億ドルがかかります。米議会予算局(CBO)の予測では、同時期の予測をさらに低い1.2兆〜1.7兆ドルとしています。

 退役軍人の医療費について、CBOは2017年までに90億ドル〜130億ドルを見積もり、スティグリッツらは4,220億ドル〜7,170億ドルを見積もっています。CBOはスティグリッツらが脳障害の治療費を過剰に見積もっていると批判し、スティグリッツらはCBOの見積もりに隠された項目をカバーしていないと批判しています。

 2003年の段階で、月当たりの戦費は40億ドル、年間では480億ドルと言われていました。2003年の段階ですら、見積もった予算があとで上方修正されるという事件が起きています。この年、480億ドルで済むはずの予算が600〜700億ドルかかると説明され、その直後にブッシュ大統領が870億ドルだと発言し、さらにラムズフェルド国防長官が別途350億ドルがかかると述べたのです。最初から、イラク戦の戦費は急増しており、当初から経済的な裏付けができないという批判に曝されてきました。

 戦費の見積もりは人によって大きく変わります。これはどこまでを予算に含めるかによって変わるためです。今回もCBOと経済学者の間で論争になりました。また、こうした見積もりは、後々増加する傾向にあります。インフレやその他の環境の変化により、自然に膨らんでいくものなのです。これまで、米軍の様々な無駄遣いを批判してきました。イラク軍の銃をすべて米国製にしたり、ハイテク兵器を前倒しで導入することは、すべて戦費の増加につながります。最近、このサイトで紹介したハイテク兵器など、まだ導入されていない兵器の費用はこの見積もりには含まれていません。戦費の増加はさらに進む可能性があると私は考えています。国防を考える時は、こうした経済面を真っ先に検討する必要があります。

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