military.comによれば、アフガニスタンで勤務する19歳の女性兵士が銀星章(The Silver Star)を受勲することになりました。
女性兵士が銀星章を受勲するのは第二次世界大戦以来、2人目です。銀星章は戦闘でもらえる勲章としては3番目に高位の勲章です(記事には国家で3番目と書いてあります)。なお、イラクでは2005年にリー・アン・ヘスター三等軍曹(Sgt. Leigh Ann Hester)が銀星章を受勲しています。
陸軍のモニカ・リン・ブラウン技術兵(Spc. Monica Lin Brown)は、2007年4月、パクティア州(Paktia province)でハンヴィーの一隊が路傍爆弾による攻撃を受けた際、戦友の命を救いました。爆発により5人の兵士が負傷すると、彼女は銃火の中を戦友の元へと走り、身を挺して100ヤード(91.44m)以内に落下する迫撃砲から守ったのです。爆発が起きると、彼女は車のドアを開けて、救急バッグをつかみ、燃えている車両へ向かいました。5人の負傷兵は全員が車から放り出されていました。砲弾が落下し続けていたので、彼女は負傷兵を500ヤード離れた安全な場所へと運び、ヘリコプターが到着するまで彼らを治療しました。ブラウンは「私は仲間を安全な場所に運び、治療して、そこから連れ出すこと以外に何も考えませんでした」とAP通信に述べました。また、「自分はロボットモードみたいな状態だった」「怖がっている暇はなかった」「走って車へ戻る時は酷く神経質だったので、戦友の負傷の程度も分からなかった。恐ろしかった」と述べていることから、無我夢中での行動だったことが考えられます。
銀星章は戦闘で卓越した行動を示した者だけに与えられる勲章で、平時には何をしてももらえません。女性が戦闘地域に行くことは、男性兵士に比べて少ないことから、今回の受勲はとても珍しいものです。記事に本人の写真が載っていますが、小銃を持っています。これが少々引っかかりました。記事には彼女は衛生兵だと書いてあります。衛生兵は活動する時に規則上、小銃を持てません。それでも、こういう記事になると小銃を持って写真に収まることを要求されるのでしょう。こういう写真を喜ぶ心理はミーハーだと思います。救急バッグを肩から提げた写真では駄目なのでしょうか?衛生兵は戦場では味方を救助するだけでなく、敵の負傷兵も治療する中立的な立場にあります。それ故に、衛生兵には国際法上でいくつかの特権が認められています。
今回の英雄的な行動は、訓練の結果ではありますが、兵士がしばしば戦場で示す行動でもあります。緊急事態になった時、兵士は訓練でならった方法に従おうとするものです。それは他のことを咄嗟に考えつけないためでもあります。とてつもなく勇敢な行動をした兵士が、あとで「なぜ、あんな危険なことができたのか分からない。二度とやれない」と言うことがありますが、これも訓練で培われた条件反射によるものです。その結果、マスコミはそれを美談として報じることになるのですが、考えてみるとごく当たり前のことでもあります。