湾岸戦争シンドロームの原因は化学剤か?

2008.3.12



 湾岸戦争シンドロームといわれる病気について、いくつかの化学物質が原因として考えられると科学者が主張したとmilitary.comが報じました。

 湾岸戦争に参加した30%近い兵士が、疲労、記憶喪失、睡眠障害を訴えています。しかし、症状が一様ではないため、医学研究所(the Institute of Medicine)は、湾岸戦争に参加した兵士に多い病気であるとは認めながらも、湾岸戦争シンドロームという病気は存在しないと結論しました。

 これまで複数の化学物質に被爆したことが原因として考えられてきました。カルフォルニア大学のベアトリス・ゴロンブ教授(Dr. Beatrice Golomb)は、115の神経学的症状の研究と、抗神経ガス剤・臭化ピリドスチグミン、チョウバエを駆除するのに使われる農薬、神経ガス・サリンの三つの化学剤の被爆について再検討しました。これらの化学剤はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(acetylcholinesterase inhibitor)として広く知られています。ゴロンブ教授は遺伝的にこれらの化学剤を体から除去する能力を持たない退役軍人は、症状を発するより高い可能性を持っているといいます。

 非常に短い記事なので、新説の内容はよく分かりません。しかし、一部の症状については、ある程度信頼できる証拠が固まったようです。臭化ピリドスチグミンは神経ガスに対抗するために兵士に投与された薬で、これが病気を起こしたのなら問題です。もっとも、多くの薬を戦地に派遣する前に投与することには問題があると、以前からいわれてきました。大量の注射をされて具合が悪くなった兵士がいるとも聞きます。

 湾岸戦争シンドロームの原因は、劣化ウラン弾説をはじめ、色々な話があり、どれが正しいのか分かりません。サリンについては、米軍がイラク軍の弾薬庫を爆破する際、そこにサリンが保管されていたとは知らなかったため、広範囲にサリンが拡散したという報告がありますから、それを想定しているのでしょう。農薬はイラクの農民が使っているものを指しているのでしょう。

 今回の報告で病気のすべてが分かったわけではないので、今後も超した情報に注意していく必要があります。

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