ソナー音の害はそれほど大きくない?

2008.3.13



 military.comによると、アクティブソナーが海洋生物に与える影響を議論する公聴会が開かれ、米海軍と環境保護家が意見をかわしました。

 議論は東海岸とメキシコ湾にある作戦海域で用いられる中・高周波数のソナー技術が艦橋に与える影響に焦点があてられました。海軍はウミガメ、鯨のような海洋生物に対して大きな害は与えていないと主張し、環境保護派は累積された害が海洋生物に与える問題を指摘しました。海軍で働く海洋学者は、ソナー音は海洋生物が餌を食べるのを止めたり、海域を去ったりするだけで、彼らの周りにある音を越えるものではないと主張します。海軍は、目標物が動物か障害物か、艦船かを見分けるための技術を訓練する必要があると主張しました。

 この記事を読むと、繰り返しソナー音に曝されることで海洋生物に健康上の問題が起きるらしいことが分かります。ソナー音が殺人音なのではなく、その出力に問題があるのでしょう。我々も、耳の近くで「ピン!」という大きな音を繰り返し聞かされれば倒れてしまうでしょう。

 問題は余計に検証しにくいようです。水族館のイルカなどに、ソナー音と同じ音を、ごく弱い出力で聞かせて水槽の反対側に移動するかなどを調べるくらいしか実験の方法は考えられません。あとは、海岸に打ち上げられた海洋生物を数多く解剖し、共通点を見出していくしか手はなさそうです。ただ、海軍がいうように、ソナー音が海中に自然に存在する音と変わらないという点は疑問です。ソナー音のように、瞬間的に大きな音は海中にないように思われます。

 実戦で、アクティブソナーを使う頻度は小さく、問題は訓練時に繰り返しソナー音を出すことにあります。訓練時の方法を変えることで問題は解決するのだから、それほど難しいことではありません。海軍側が譲歩すべき余地は十分にあります。あとは、問題が科学的に実証されるかどうかに注目が集まります。

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