言うまでもなく、今日のトップニュースは5年間の戦いで米軍の戦死者が4,000人を越えたことです。military.comによれば、AP通信が、8人の国防総省の文民職員を含めて、戦死者が4,000人を越えたと報じました。バグダッド南部でIEDによって4人が死亡したことで、米軍の戦死者は4,000人を越えました。
4,000人という数字に、重大な意味はありません。問題は、それが意味なく失われたということです。損失は常に避けなければならないものですが、避けられない場合もあります。軍の指揮車が優秀なら、損失すら勝利につなげることができるでしょうが、対テロ戦争のほとんどの損失は無益に失われただけです。記事に引用されている米海軍広報官の発言がそれを象徴しています。「いくらかの重要な進展がありました。しかし、この敵は回復力に富み、決して諦めないでしょう。我々も諦めません。まだなされるべきことが沢山あります」 この発言は一見勇気がこもっているように見えますが、要するに勝ち目のない戦争を延々と続けていると言っているだけで、ほとんど意味がありません。
一方、イラクの死者数は、Iraq Body Countによれば、82,349〜89,867人で、20倍以上の比率となっています。これは戦争の被害としては、かなりの負荷といえます。
治安が回復していないことを象徴する事件が起きています。military.comによると、イースター特別礼拝がある日曜日にバグダッドのグリーンゾーンに2回の一斉射撃が撃ち込まれました。午前6時、およそ十回の爆発音が米英の大使館とイラク政府の中枢があるグリーンゾーンに響き渡りました。さらに、約4時間後、別の迫撃砲かロケット弾がこの地域に撃ち込まれました。
被害はごく僅かしか報告されていません。この種の攻撃は、正確に照準して行われるわけではありません。目標に対して大まかに照準し、連続的に砲弾を発射して逃げるのが普通ですから、被害が出るのは運が悪い時だけです。それでも、「グリーンゾーンとて安全ではない」というプロパガンダとしては成功なのです。犯行声明は出ていませんが、この攻撃はバグダッド東岸のシーア派居住区域から放たれました。マハディ軍から分離した一派の犯行と推測することもできます。
戦死は戦場でだけ起きるものではありません。ある米兵の死を巡って、彼の母親が疑問を呈していると、military.comが報じました。2度のイラク派遣を経験したジェームズ・W・マクドナルド三等軍曹(Sgt. James W. McDonald)は昨年5月にIEDで負傷しました。ドイツで治療した後に帰国し、8月に大がかりな顔の手術を受けました。そして、11月12日に兵舎で死体となって発見されたのです。彼が最後に見かけられたのはその先週の金曜日でした。軍は自殺や不測の事態を排除しましたが、死体が腐敗していたために死因を特定できませんでした。そして、トラウマを伴う脳障害の疑いを否定できないとしながらも、戦闘に関連しない死と認定しました。マクドナルドの母親ジョアン(Joan)は、息子が帰国以来、睡眠障害を抱えていたと言います。彼は以前はそのような問題を持っていませんでした。また、鼻からの大量出血もあり、そのため8月の手術が行われました。死ぬ直前、彼は武器庫と郵便部門で仕事をし、1月には軍を辞めて消防士になろうとしていました。
このように、グレーゾーンにある死因も少なくないのです。睡眠障害は脳障害の特徴のひとつです。脳に関する医学が未だに不完全であるため、すべての症状を正確に特定することはできません。それなのに、この戦争では脳障害が多く発生しています。そして、マクドナルドの死因が明らかにされることはなく、IED攻撃の影響は無視されたのです。かすり傷は軍の統計で負傷に数えられないこともあります。しかし、破傷風菌が傷口から入れば大変な事態を引き起こします。軍人の負傷に関する問題は単純には考えられない要素が沢山あるのです。