military.comによれば、バスラでイラク軍が掃討作戦を始めました。この戦いが報じられることで、分かりにくかったイラク南部の状況が見えてくるかも知れません。
バスラは昨年11月には暴力事件が90%も急落し、治安が回復したと言われていた街です(その記事はこちら)。それが今や、イラク政府の威信をかけての戦いの場と化しています。今回、マリキ首相が現地入りして掃討作戦を行っていることから、イラク政府がこの掃討作戦を成功させて、イラクの治安の向上をアピールしようとする姿勢が見えます。イラク軍が米軍の支援なしに活動できることを示したいのです。マリキ首相は武装勢力に3日間の猶予を与え、武器を捨てるように命じています。武装勢力側は代表を政府に派遣して、この問題を平和的に解決しようとしていると言います。
戦いはバグダッドなどの他の都市にも拡大しています。バスラとバグダッドの両方で、少なくとも55人が死亡、300人が負傷しました。戦いの状況はあまり書かれていませんが、戦闘車両も投入され、かなり激しいものであることが窺えます。しかし、今のところ、投入兵数などの情報は手に入っていません。この記事からは十分な情報は得られていません。
バグダッドではなく、第二の都市バスラが戦場となった点が、イラクが置かれている立場を象徴しています。バグダッドでは、こうした掃討作戦が行えないので、バスラでやっているという印象です。これで、マハディ軍の停戦がなし崩し的に終了してしまう危険があるのに、あえて今の時期に行ったことも理解できません。もう少し情報が必要です。
ところで、ペトラエス大将は、この夏に増派した分を撤退させる以外、兵員の帰国を望んでいないと、military.comが報じました。誰も予断を許せない状況なのです。バスラの件は、この可能性をさらに高めるでしょう。