ワシントン・ポストによると、イラク軍によるバスラ掃討作戦に抗議して、サドル師の支持者大勢がバグダッドの通りをデモ行進しました。米大使館の職員は、今週アメリカ人2名が死亡したことから、施設内に留まるよう命じられています。バグダッドには外出禁止令命令も出ており、木曜日午後11時から日曜日午前5時まで、許可を受けていない乗り物と歩行者以外、イラク人の通行を禁止しています。
この戦いが始まった原因も分かりました。破壊活動家がバスラにある、輸出の少なくとも3分の1を2つの主要な石油輸出パイプラインを破壊したことに対して、マリキ首相が行動を起こしたのです。マリキ首相は、戦いが決着するまで、交渉なしとの態度です。バグダッド、ヒッラ(Hilla)、クート(Kut)で、これまで200名近い人びとが死亡しました。イラク政府の広報官が誘拐され、自宅が放火されました。4波による16基のロケット弾がグリーンゾーンに着弾しました。また、米軍は他の8基のロケット弾を阻止したといいます。これは、先日紹介したファランクス機関砲が功を奏したのかも知れません。
バスラでは、イラク軍は米英軍の航空機から情報提供を受けながら活動しています。米軍筋の情報では、投入兵力は約2千人です。戦いは各地で行われ、ディワニヤ(Diwaniyah)でイラク兵、警察官2名が死亡、13人が負傷しています。米軍はヒッラの3つの地域を爆撃し、約60人の戦死を死傷させたとイラク軍が発表しましたが、米軍は否定しました。各地で物資の不足が起こり始めています。
政治家と専門家からは、今回の攻撃について賛否両論が提示されています。それは省略しますが、私は否定的な見解です。パイプライン破壊の背景は分からないものの、マハディ軍を刺激しすぎる行為だからです。サドル師がパイプラインの破壊を命じたかどうかの情報はありませんが、今回の攻撃で休戦が無になる恐れが高いと思えます。南部からマハディ軍が排除されれば、ここから得られる石油関連の利権を失うことになります。そうなれば、徹底抗戦へマハディ軍の方針が変わる恐れがあるように思われます。武装勢力に、降伏するように最後通牒を突きつけたのは、相手の退路を断つやり方で、逆に猛反発を招く恐れがあります。サドル師の見解はまだ明らかになっていないようですが、それが今回の事件のポイントのように思われます。すでに、南部の都市を中心にして掃討作戦の影響が出ています。記事に書いていない都市でも事件が起きているはずです。情報の供給よりも事態の進展が早く、報道だけから事態を正確に判断はできません。結果が非常に気にかかります。悪い結果が出るような予感がします。