拷問を承認した覚え書きが公開に

2008.4.3



 ここ数日、疲労が抜けず、調子があがらないので、本日は簡単に書くことにします。military.comによると、以前から存在が知られていた米国防総省の覚え書きを、国防総省自身が公開しました。

 2003年3月14日付の司法省メモは、アルカイダとタリバンの抑留者に対する尋問において、明確に拷問を意図しない限りにおいて、合法だとしました。また、最高司令官としての大統領の有事の権限は、拷問を禁じる国際連合の条約から制約を受けないとしています。このメモは同年12月まで有効でした。

 この覚え書きは、アメリカがテロの脅威によって思考の短絡を来たし、国際法を無視して国内法を最優先して、自身の殻に閉じこもってしまった事実の証拠です。記事に書かれていることですが、「明確に拷問を意図しない限り」と定めたところで、この覚え書きは事実上、拷問の使用を承認したのです。そして、その結果、たくさんの拷問が行われたのです。現在のところ、その一部しか明らかになっていませんが、まだ多くの隠された拷問が存在したと考えられます。

 困ったことに、小説や映画などのメディアは、過去から繰り返し「拷問」を不正確に描写しており、その本質的な問題を認識する人は少ないのです。拷問に耐えられる人はおらず、それは激しい苦痛をもたらすものなのです。どんなに粋がったところで、指の一本もへし折られれば、誰だって考えを変えるものです。「テロリストは悪党なのだから、拷問をすることはやむを得ない」と考える人がいるとすれば、それは戦争の歴史について余りにも無知です。それは野蛮な過去に回帰することに他なりません。

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