ワシントン・ポストによると、マリキ首相はサドル師がマハディ軍を解散させない限り、10月に行われる地方選挙に参加させないと宣言しました。一方、バグダッドではシーア派と思われる攻撃が続いており、昨日も米軍人3人が死亡しました。
マハディ軍の解散について、アメリカのイラク問題の専門家ジェイソン・グルックは、民兵組織の解散はサドル師にとってギャンブルになるだろうと述べました。しかし、サドル師がマハディ軍を解散する可能性はほとんどないと思われます。そして、それはマリキ首相にとってもギャンブルです。下手すると、治安が一気に悪化する恐れがあります。バスラでの掃討作戦自体が唐突すぎましたし、それを支持せざるを得ないアメリカとイギリスの判断も誤っています。
バグダッドでの迫撃砲やロケット砲の攻撃を阻止するため、米軍はヘリコプターから発射地点と思われる場所へヘルファイアミサイルや小型爆弾を投下して対抗しています。3カ所を爆撃し、効果をあげたと米軍は主張していますが、今のところ、その根を断てたという確証は、米軍も持っていないはずです。ロケット砲は発射したら、発射台を放置して操作員は逃げてしまいますし、迫撃砲は分解して持ち去れます。あるいは、トラックの荷台に積んで発射し、車ごと逃げるのかも知れません。これには大した時間はかからないので、米軍が短時間で対砲・対迫レーダーで発射地点を特定したとしても、ヘリコプターが射程内に発射地点を捉える前に操作員は逃亡できます。当然、操作員たちは近くに米軍の攻撃ヘリがいないことを確認してから砲撃を行うのです。
これを防ぐには、24時間発射地点に使われる区域をすべてヘリコプターで監視し、発射を確認したら直ちに攻撃できるようにするしかありません。これは至難の業です。その上、周辺住民にまで被害を及ぼす危険性がかなりあります。
サマワに駐屯した自衛隊にとって、砲撃は精度が低いので、それほど恐くなかったといいますが、サマワ周辺には隠れる場所がないために、準備時間を長く取れないという問題がありました。しかし、バグダッドには至る所に隠れる場所があります。また、サマワ駐屯地に比べると、グリーンゾーンは遙かに大きいため、どこかに落ちればよいという条件の下では、命中する可能性はかなり高いのです。