発売中の「週刊現代」4.19号に清徳丸事件に関する記事が載っています。それによると、海上保安庁は「あたご」が回避行動を取ったのは、清徳丸に衝突する1分前ではなく、衝突後だと見ているということです。
清徳丸事件の事故調査は遅れています。その原因は、乗組員の証言に矛盾があるからだと海保幹部が述べているとのことです。乗組員から海保へのたれ込み電話。海保が押収した酒瓶。気になる情報が多数書かれています。できれば、もっと技術的な内容を盛り込んで、説得力を高めて欲しいところですが、この記事は海自の発表に疑わしい点があることを明確に書いています。先に同誌が報じた飲酒疑惑については、にわかに信じられませんでしたが、今回の記事には具体的な内容が書かれています。ただ、「『あたご』が100%事故責任を問われる」という点は書きすぎです。しかし、「あたご」が衝突前に何も対応を行っていなかったとすれば、「あたご」「清徳丸」の過失割合は、最大の差がつくことになるでしょう。詳しいことは、記事を読んで頂きたいと思います。
海自が組織ぐるみで隠蔽工作を行ったことは、ほとんど疑いにくくなりました。アメリカなら司法妨害にも問われるべき内容です。日本は戦後、防衛問題をできるだけ避けてきたため、逆にこうした部分での法整備が進んでおらず、武装組織が危険な状態で放置されています。この事件はそれを露呈したのです。海保が洋上で実際に「あたご」を動かして検証を行うことを計画しているのは、「あたご」乗組員の嘘を暴くためだと推論することができます。日本の実習船が米原潜に衝突された「えひめ丸事件」ですら、衝突したグリーンヴィル艦長は隊員に「何も隠さず、何も付け加えるな」と命じたと言われています。それでも、事件は十分に解明されたかについては疑問が残っています。しかし、海自はそれよりもずっと隠蔽体質が高いのです。
報じられた「清徳丸」の船体を見ると、ちょうど船首の先端部分の形に船体が三角形状に損失しています。これは「あたご」の船首が「清徳丸」に横から衝突したことで損壊したものです。もし、「あたご」がゆっくりと衝突した場合、時間をかけて船体が破損することにより、損失部分の幅は大きくなるはずです。ところが、「清徳丸」はまるで「あたご」の船首部分の形そのままに削られています。これは「あたご」が高速で「清徳丸」に衝突したことの証拠だと思えます。このことは写真が公開された時から気になっていましたが、今回の記事で確信しました。「あたご」は何の対策も取らないままに「清徳丸」へ衝突したのです。
隠蔽体質は海自だけではありません。かつて、防衛省に装備品を納入している企業の人からも、類似した発言を聞かされたことがあります。彼によれば、防衛の専門家というのは自衛官であり、一般人が防衛問題に首を突っ込むのはおかしいことなのだそうです。しかし、その専門家たちがおかしなことをやっているのです。一般国民にそこから目を背けろというのは成り立たない論理です。