space-war.comによると、ガーディアン紙(The Guardian)が、アメリカとイラクが無制限な米軍の関与を認める合意の草案を準備中だと報じました。これは今年末に期限が切れる国連による委任に置き換えられるものです。ガーディアン紙が入手したのは3月7日付けの書面だったということです。
この合意は、アメリカがイラクにおいて、時間的な制約なしに軍事作戦を行い、安全保障上の必要がある場合には個人を拘留することを認めています。また、イラクに配置できる米兵の兵数、使用する兵器、イラクにおける米兵の法律上の立場やイラク国民に対する権限も無制限としています。この合意は、イラクが主権、領土保全と政治的独立を維持し、イラクに対する外部の脅迫が阻止されるというアメリカとイラクの相互利益の範囲にあり、両国はイラクの政治的独立が脅かされる時は直ちに協議を行うことを取り決めています。興味深いのは、アメリカは他の国に対する攻撃的な軍事作戦を行うプラットフォームとしてイラク国内を利用しないということが合意に含まれていることです。これは、アメリカがイランを攻撃するために、イラク国内の基地を利用しないことを意味します。
現在の合意内容が正確に分からないので、この合意がより強化されるものと言えるかどうかが分かりません。しかし、兵器の制限なしということは、最悪、核兵器も使えることを意味します。現実的にそのようなケースはないでしょうが、理屈の上では可能です。しかし、他国への攻撃のためにイラクは使わないというわけです。もちろん、こうした内容を含めないと、国際社会の支持は得られません。
この合意はアメリカがイラクにガッチリと食い込み続けるためには必要でしょうが、米兵がイラク国民に対して無制限に権限を持つのは、基本的人権の観点からも行き過ぎです。とても正常な国家関係ではありません。現状はすでにそうなっていますが、書面でも確定するのは、さらいまずいことです。