アンバル州の治安が向上

2008.4.17



 military.comによると、アンバル州の武装勢力が減少しています。先にも同種の報道がありましたが、この報道もそれを追認しています。

 アサド空軍基地にいる第5連隊戦闘団の指揮官パトリック・マレー大佐(Col. Patrick Malay)は、イエメン、アルジェリア、シリア、サウジアラビアからイラクに聖戦の夢を持ってやって来た武装勢力は、一年前よりも減少しています。彼らは現実に失望し、ワジを放浪していると述べています。テロ事件は週に15件と少なくなりました。アンバル州のイラク警察は5,000人、高速道路のパトロールは1,000人、イラク兵は7,000人おり、市民軍を使っているのはラマディとファルージャだけ、ここ数週間で米海兵隊は40%が削減され、増員される予定はないということです。この夏、治安権限がアンバル州に移譲される可能性も示唆されています。

 アンバル州で起きたことは本当に奇妙です。絶望的な状況という報告が、ある部族長がパトロールに来た米兵に協力を申し出たという映画のような事件から、一転して治安がよくなり始めました。正直なところ、これがすべて本当の話なのか疑問です。最近も、シリア経由のルートは壊滅していないという報道がありました。アルカイダは、シリア経由で入国する武装勢力のサポートを減らしているのかも知れません。戦場をアフガニスタンに移行している可能性はあります。しかし、アンバル州を経由して入国した者たちがバグダッドで事件を起こしているのも確かです。明確な戦略を持たないアルカイダですから、単一の説明では不十分でしょう。そんなわけで、私には、アンバル州の変化は未だにはっきりとは理由が分かりません。

 ところで、別の記事によると、昨年、イラクに赴任したくないという外交官が増えたため、米国務省は強制的に赴任させる可能性を示唆しました。志願者が出たために、この問題は解決しましたが、来年こそは強制的に派遣される外交官が出るかも知れません。

 12,000人いる海外勤務の外交官の20%が、すでにイラクとアフガニスタンでの勤務を終えました。来年、再び志願者を募り、300人の定数に足りなければ、誰かを強制的に赴任させることになると見込まれています。

 アンバル州で改善が見られても、外交官たちは赴任を拒絶するのでしょうか? この問題もイラク戦を見るための指標のひとつです。

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