ミャンマー、四川省で救援遅れる

2008.5.15
同9:30追加



 昨日退院したので、本日から更新を再開します。

 ミャンマーのサイクロン「ナルギス」による大被害に次いで、中国四川省でも未曾有の大地震が起こりました。皮肉な話ですが、ミャンマーが強気なのは中国の後ろ盾があるからで、そこも大被害を受けたのです。military.comがミャンマー関連の記事を掲載しています。

 最初にミャンマーへ飛んだ輸送機は横田基地の第36飛行隊の機で、太平洋艦隊司令官ティモシー・J・キーティング海軍大将(Adm. Timothy J. Keating)が乗り、ミャンマーへのアメリカの親書を携えていました。それには、「救援が目的であり、侵略の意図はない」という内容が書かれていました。輸送機の機長は、我々はいかなる武器、兵器も積んでいないと述べています。

 しかし、ミャンマーが気にしているのは、こうした直接的な侵略ではなく、間接的な侵略です。支援団体の入国を許せば、彼らはミャンマー国民と直接接触し、国内の事情を知ることになります。アウン・サン・スー・チー氏との接触も考えられます。そうなると、国際的に軍事政権が問題視され、そこから革命の気運が高まることを恐れているのです。そこで完全に中立であることが保証できる赤十字社だけに支援を許可しました。ほかのNGOは組織の背景を把握しにくいので、入れない方が賢明と考えたのです。昨日になってようやくタイのような友好国に限定して入国を認めたというわけです。これなら危険は最小限で済みます。

 前にも書いたと思いますが。日本赤十字社のニュースレターは、こうした災害で重要な情報源となり、「ナルギス」と四川省の大地震について詳しく知らせています。このニュースレターは一般のニュースよりも詳しいくらいで、支援内容が具体的に書かれています。ミャンマーには浄水タブレッドなど、飲料水を確保するための基本的な物資しかまだ届いておらず、救援活動はまだ第一の段階にあります。今後、さらに必要な物資を運搬、配布する必要があります。ミャンマー国民はもっぱら食べ物を自力で確保している状況と思われ、すでに被災から2週間が経とうとしているのに極めて厳しい状況にあります。

 ミャンマーの事例は、今後、国際社会が取るべき道を議論するためのテーマとされるでしょう。大規模な天災などの場合、国際社会が積極的に人道的介入を行う方法を確立する必要があります。このために活用される軍隊は、もともとは各国の防衛のために設けられた組織であり、友好国以外に対しては、今回のように支援がしにくいという事態が生まれかねません。そこをどう解決するかということを考えていく必要があります。ミャンマーのように、間接的に革命を誘発するような環境がある場合でも、支援のために軍隊が入国する方法を考えていかなければなりません。本来、防衛大臣がそういう議論の旗を持つべきなのですが、石破大臣の見解は先に紹介したとおりで、まったく期待が持てません。

 ところで、中国が落下傘部隊を連絡が途絶した地域に降下させるという報道がありますが、本当なのでしょうか。怪我人が出ることもあり、周到な準備が必要な空挺作戦よりはヘリボーン作戦の方が確実な気がします。まず、状況を把握するためにヘリコプターを飛ばせ、それから輸送ヘリのピストン輸送で物資を運び込む方が迅速に効果を出せるはずです。ヘリ部隊の数は少ないと聞いていますが、落下傘部隊の数も少ないと聞いています。ここでヘリ部隊を使わない手はありません。

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