米海軍F/A-18が訓練で誤爆

2008.5.16



 演習中だった米海軍の攻撃機F/A-18が大変なミスをやってしまったのかも知れません。military.comによれば、今週火曜日、第213攻撃飛行隊「ファイティング・ブラックライオン」所属のF/A-18が、実弾投下訓練で投下した500ポンド爆弾が目標を大きく逸れ、国有林に落下して爆発しました。

 レーザー誘導式の500ポンド爆弾は、ピンキャッスル射爆場(the Pine-castle Impact Range)の中にある目標の東方に1マイル(約1.6km)逸れ、中央フロリダ、オカラ(Ocala)にある257エーカー(約1.04平方m)の森林と湿原を焼きました。この射爆場では、年間2万発近い爆弾が投下され、その内の数百発は実弾です。国有林は382,000エーカーあり、その内の6,000エーカーを海軍が使用しています。第213攻撃飛行隊は空母「セオドア・ルーズベルト」の艦載部隊です。パイロットの氏名は公表されていません。

 記事には2007年10月30日に起こった、類似した事故についても書かれています。この時は訓練弾だったため、商業地域に落下したものの煙しか出さず、大きな被害はありませんでした。しかし、今回の爆弾は実弾で、レーザー誘導爆弾でした。それでも1.6km逸れることがある点に注意が必要です。レーザー誘導というと、ピンポイント爆撃が常に可能だと信じ込んでいる人がいます。湾岸戦争の際、米軍がピンポイント爆撃で被害を減らしていることを評価した知人がいました。しかし、レーザー誘導も常に成功するわけではありません。兵器は攻撃成功率は半分もあれば御の字とみなされます。もし、攻撃が失敗しても、もう一度攻撃して成功するのなら実用上は十分なのです。

 F/A-18に搭載できるレーザー誘導式の500ポンド爆弾には「GBU-12」や「GBU-38」があります。どちらの爆弾も500ポンド爆弾「Mk82」にレーザー誘導機能を追加して命中率を高めたものです。「GBU-12」は照準点から9m以内に命中し、湾岸戦争で命中率88%の実績を打ち立てたといいます。今回の誤爆の原因はまだ不明です。しかし、原因はともかく、これだけ外れることがあるということを、我々はよく憶えておくべきです。アメリカがアフガニスタンでアルカイダに対する攻撃を始めた頃、住宅地の近くに爆弾が落下した写真を見ました。いくらレーザー誘導式爆弾でも、これほど近ければ誤爆の可能性があると思いました。しかし、戦争を遂行する時の考え方はそんなものなのです。そのことを、案外、私たちは忘れがちです。

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