マケイン:2013年までにイラクから撤退

2008.5.17



 military.comによると、共和党の大統領候補ジョン・マケインが、2013年1月までに、ほとんどの兵士は帰国し、イラク戦争は勝利を収められると信じると発言しました。これまでイラク撤退のタイムテーブルについては触れてこなかったマケインが、具体的な撤退期日を口にしたのです。

 また、マケインがぶれ出しました。これまでは、目標を達成するまでは百年でもイラクに駐留すると言っていたのに、全面的な撤退を示唆したのです。こんなことを彼はこれまでも繰り返してきました。当時、国防長官だったラムズフェルドを称賛したかと思えば、翌週には批判してみせたこともあります。こうした彼の変遷は、大統領選挙で必ず民主党候補からの攻撃材料になるに違いありません。マケインにはその材料が多すぎます。日和見主義の大統領よりも、信念を貫く大統領の方が大衆に支持されるのは言うまでもありません。

 それも、これまで何度も聞かされてきた「適当に遠い未来」としか思えない、5年後を示したのです。「適当に遠い未来」とは、誰にも予想できない、たとえ予想が外れても、その時までには人びとが忘れているほど遠い未来のことです。これまで米軍高官によって、「○年までにはイラクから撤退を開始できる」といった予想がなされ、ことごとく外れてきました。この種の予想はあたらないのは、いまさら言葉を尽くさなくても説明できるほど明らかです。この手がまだ通用すると、マケインが信じていたとは意外です。

 マケインの今回の発言は支離滅裂です。たとえば、「それはタイムテーブルではありません。それは勝利です。私が常に予測してきた勝利なのです」という発言には苦笑させられます。単なる修辞学的表現でしかない上に、いまだに「勝利」という言葉に縛られ続けている点が気になるからです。大体、彼が2013年に勝利が到来すると予測していたとは初耳です。記事も冷笑的で、「神秘的なスピーチ」とか「水晶玉を通して2013年を見つめる」といった表現がみられます。

 短期的な評価で方策を変えるような大統領は、対テロ戦争では勝利を収められないでしょう。アメリカ人がマケインを選んだら、世界の未来は本当に絶望的です。しかし、こんなに脇が甘い候補者を民主党候補の陣営が見逃すはずはありません。おそらく、テレビCMでマケインのこれまでの発言を編集して宣伝するはずです。これをやられたら、マケインには勝ち目はないでしょう。

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