military.comによれば、サイクロン「ナルギス」による大被害を受けたミャンマーは米海軍の艦船による支援物資の提供を断りました。これはミャンマーの国営メディアが報じました。
米海軍は4隻の艦艇と14機のヘリコプター、2隻の揚陸艦、ハイテク水陸両用ホバークラフトと約1,000人の海兵隊員をミャンマー沖合に待機させていました。イギリスとフランスの艦艇も同様に待機していました。今回の報道はアメリカの支援についてだけ報じ、イギリスとフランスの支援については述べませんでした。このサイクロンによる死者は78,000人以上、負傷者は56,000人以上とされ、損害は100億ドルに達すると考えられています。それにも関わらず、アメリカの艦艇が乗り入れることを拒否したのです。赤十字社の情報では、比較的大きな都市には支援物資が行き渡り始めていますが、遠隔地には届いていないところがあります。人びとは水を手に入れるためにビニールシートを使っているようです。
米空軍の輸送機を受け入れたミャンマーが艦艇を受け入れないのは、機体と搭乗員を空港内だけに留めておける航空機と違い、揚陸艦やホバークラフトは海岸に直接乗り入れられるためかも知れません。そこに被災者が殺到して、支援物資を要求する可能性もあります。そうなると、その様子が世界中に報じられる危険があると、軍事政権は考えたのかも知れません。しかし、ヘリコプターでミャンマー軍基地内へ支援物資をピストン輸送するのなら問題はないはずです。艦艇も軍港内だけに影響を留められます。こうなると、外国の影響が及ぶこと自体を恐れているとしか思えません。USAの名前が入った支援物資が大量に入り込むことで、国民の心が外国へ向き、そこから政権打倒の動きが興ることを心配しているのかも知れません。
しかし今回、ミャンマーが見せた態度により、国際社会がミャンマーの軍事政権を危険視する方向性は確定的になったといえます。中国の支援をあてにしていたミャンマーですが、その中国も四川大地震により海外の支援を受けざるを得ない立場に立たされています。これら二ヶ国にとって、今回の天災は方向転換のひとつの要因になることを期待するしかありません。同じアジアでも、インドネシア・スマトラ沖地震では、内紛を抱えるインドネシアは国際的な支援を受け入れました。それができない国は大きな損害を受けることが、ミャンマーと中国で証明されたのです。救援活動だけでなく、今後、中国は進んだ日本の耐震建築を導入せざるを得ないでしょう。国際化の波は止められず、どの国も閉鎖的なままではいられません。時間はかかりますが、日本もそうしたムーブメントを後押しする国であるべきです。