military.comが駐イラク米大使ライアン・クロッカー(Ryan Crocker)が、ナジャフで行った発言の内容を報じました。大使は、いまほどイラクのアルカイダ・ネットワークを打倒間近まで迫ったことはないと述べ、マリキ首相のシーア派とスンニ派の武装グループを抑える彼の行動を称賛しました。
クロッカー大使の発言に大した意味はなく、それよりも最近のテロ活動の様子が書かれていることが重要です。
アルカイダかスンニ派の武装組織が土曜日にモスルを攻撃しました。IEDがイラク軍のパトロールを攻撃し、車両を破壊して4人の兵士を殺しました。バクバの近くでは地元のスンニ派有志協議会のメンバーを暗殺しました。ここは昨年、米軍がアルカイダを標的として攻撃した場所です。国民対話同盟の事務所での会議に参加した男性3人が、自動車爆弾で殺害されました。バスラでイラク警察が金曜日の祈祷のために集まったサドル師支持者たちの頭上に向けて発砲したため、バスラとサドル・シティで緊張が高まりました。会場の近くで大量の武器が見つかったため、警察は集会の解散を命じました。しかし、人びとが立ち去ろうとしなかったため警官が発砲したのです。同じ日、イラク兵と米兵がサドル・シティの西にあるアミル(Amil)とベイヤ(Bayaa)の両地区を捜索し、約100人を逮捕しました。イラク兵が祈祷を行うために集まっていたイラク人数名を逮捕しました。サドル師側は「金曜日の礼拝に対する全国的な陰謀」と政府を避難しています。
こうした攻撃の情報は、多くの場合、匿名のイラク警察官から得られたものです。記者に話す権限がないため、警察官は匿名を希望するのです。これは、イラク警察が情報公開に熱心でないことを示しています。テロ事件の実態は正確に知らされていません。
米軍はテロ攻撃が2004年以降最低で、1日に41回平均に下がったと言います。しかし、これはマハディ軍の停戦の影響が大きいとも考えられます。イラク兵は先週土曜日に、モスルとバスラの両方で取り締まりを行っていたと、記事は書いています。まだ、イラク全土でテロ事件が起きている現状は変わりません。5月の現在までの戦死者15人中、9人がIED攻撃で死亡しています。小火器やRPGなどによる死者は3人、交通事故死が2人、戦闘以外での死者が1人です。テロ事件の内容は、かつてと大して変わっていません。マハディ軍が活動を始めたら、減った分が復活して、元に戻ると考えてもおかしくないのです。2004年2月にも、1ヶ月の戦死者が19人、負傷者が150人まで減ったことがありました。その後、テロ事件が大きく増えているわけですから、戦死者15人で、未確認の戦死者1人もいることを考えると、楽観すべきではないことが分かります。米政府の要人がイラクの治安を語る時、過去のデータを見て評価することが大事です。