military.comによると、政府説明責任局(GAO)は、通関地の警備を強化する国土安全保障省の計画は、テロリストが貨物コンテナに大量破壊兵器を隠して密輸できる隙があることに気がつきました。
同時多発テロ以降に確立された連邦政府の計画、「テロ行為防止のための税関産業界提携(the Customs-Trade Partnership Against Terrorism: C-TPAT)」は、326カ所の国内空港、港湾、指定された陸上の国境を通過する貨物を通じた潜在的なテロリストの攻撃を阻止するものです。この計画の下では、約8,000の輸入業者、港湾局、空海陸の運送業者は、企業が税関国境警備局の最低基準を満たした警備計画を提出することで、貨物の監視を減らす利点を得られることになっています。2005年のGAOの報告書では、多くの企業が国土安全保障省の完全な調査なしで監視を減らしていることが指摘されました。それ以降、米政府は若干の改良を行いましたが、新しい報告でも、企業は未だに遵守していません、
簡単に説明すると、企業は税関職員が政府の最低条件を満たしているかを判断する自己申告の警備情報に基づいて安全だと証明されるのですが、税関の資源が不十分のため、税関は大抵はテストを実施せず、企業の警備手法は信頼でき、正確で、効果的だということにしてしまいます。税関は監査方法が存在していても、当局の直接のテストの代替として第三者やその他の監視を利用することを要求されないので、問題が放置されているのです。
要は、本来はもっと厳しく貨物を監視すべきところを、運用上の簡単な手続きを用意したのに、それすら守られていないことが明らかになったということです。
先日、コンテナに詰めた蟹に牛肉を隠して出荷しようとして逮捕された人がいました。その人は以前にも同種の密輸を行っていたようです。税関は厳しく監視しているとはいえ、すべての貨物を詳しく調べることはむずかしいわけです。こうした間隙を突いて、武器などが密輸される危険性が指摘されているわけです。トム・クランシーの小説「恐怖の総和」でも、核爆弾が海路で米国内に持ち込まれます。なぜ海路かと言うと、核爆弾が小型だとしても、大抵の場合はかなりの重量になり、監視がより容易で厳しい空路で運べる可能性は小さく、海路で運ばれるコンテナに隠されると考えられるからです。核物質をまき散らすだけの「ダーティ・ボム」も、放射線を遮蔽する容器に入れる必要があるため、かなりの重量になってしまいます。だから、海路が想定されるのは自然な話です。また、港の繁忙期に持ち込めば、より見つかりにくいかも知れません。
こうしたテロ攻撃は、すでに行われていてもおかしくはないという声もありますが、幸いにも実行されていません。もし実行されたら、アメリカはいよいよ後に退けなくなり、さらに戦争を拡大することになります。
米大使館のサイトに興味深い関連記事があります。2005年に、国土安全保障省のロバート・C・ボナー局長が行った演説で、ここで説明しているC-TPATが機能していないというのが、今回の報道である点に注意して読んでください。