military.comによると、昨年の陸軍隊員の自殺が増加し、2007年の自殺者は108人で、前年の6人増しだったと国防総省が発表しました。約4分の1の自殺はイラクで発生しました。
1月の時点で公表された暫定値は121人であったため、当初、数値はもっと多いと見られていました。ここ数年の自殺者数は、2004年が67人、2005年は85人、2006年は102人と増加する一方でした。2004年と2007年とでは2倍近く増えていることが分かります。
記事は、自殺者の増加は12ヶ月から15ヶ月へ増やされた派遣期間が影響していると書いています。長い派遣期間はそれだけ兵士にストレスをもたらし、自殺を増やすというわけです。軍は自殺防止プログラムを実施し、300人の精神科医と心理学者を雇用することに決め、180人を雇用しました。
陸軍参謀本部人事部長マイケル・ロシェル中将(Lt. Gen. Michael Rochelle)によると、対テロ戦争で自殺した陸軍兵士は、少なくとも580人いると述べています。復員軍人援護局によると、2002〜2005年までに1回以上の戦闘を経験した50万人近い退役軍人が144人自殺しました。議会調査部は、退役軍人の本当の自殺率は不明だとしています。疾病対策センターの数字では、すべての戦争の退役軍人で見た場合、1日あたり18人、1年あたり6,500人が自殺しています。
自殺者の正確な数字も分からないのかと思われるかも知れませんが、退役軍人に関する統計は大体こんな感じです。これには退役後にホームレスになり、身元不明のまま処理された数は含まれないでしょうから、実数はもっと多いはずです。州兵や予備役の中には、務めていた職場から派遣される人もいます。こうした場合、企業はその人が帰還した場合に戻るべきポストを残しておくことになっているのですが、約束が守られない場合もあります。その結果、退役軍人の一部は失業してしまうかも知れません。愛国者シンドロームの強いアメリカでも、実態はこんなものです。
記事が書いているとおり、自殺者の増加は極めて憂慮すべき事態で、専門医が不足しているのも、以前から指摘され続けています。
こうした事態は放置され、軍だけに対処が任されています。政治の世界では、こうした問題はどうしても後手になりがちです。政権はそれよりもスコット・マクレラン氏の本に反論することに忙しいようです。別の記事でドロドロの責任転嫁劇が紹介されています。日本でも自衛官の自殺率の増加が国会で取り上げられることはありますが、内閣が積極的に動くことはありません。国会での議論の実例として、平成15年10月7日の参議院外交・防衛委員会で、元検事の佐藤道夫参議院議員から石破茂防衛庁長官(当時)に対する質問を紹介しておきます。