イラクとパキスタンで、それぞれ大きな問題が起きています。駐留条件に関する交渉が行き詰まり、誤爆も起こっています。
military.comによれば、パキスタンで米軍が非常に大きなミスを犯しました。地上戦闘を支援するために航空機から投下した爆弾がパキスタンの準軍事組織「フロンティア・コーズ」の隊員11人を殺害しました。爆弾は1ダースが発射されました。フロンティア・コーズはトライバル・エリアでパキスタン陸軍に徴用された部隊です。昨日、その部隊の隊員がアルカイダを支援していることが報じられたばかりですから、実にタイミングの悪い時に誤爆が起きたことになります。この空爆では民間人も死亡したと報じられていますが、情報は錯綜しており、正確な数字は分かっていません。当然ですが、パキスタン側は米側を強く非難しています。この件で、直ちにパキスタンとアメリカの関係が悪化することはありませんが、こうしたことはじわじわと効いてくるものです。
別の記事によると、イラクでは米軍の長期駐留を認める米軍とイラク軍の保安上の合意が行き詰まっています。イラク政府が抵抗するのと米議会内の反対と大統領候補バラック・オバマの強烈な質問が原因です。ブッシュ大統領は任期を終える前に合意を取りつけたいと考えており、7月31日までに完了できると主張しています。
イラク側の反対というのは、アメリカの要求の中に受け入れがたいものがあるからです。多数の半永久的な基地から米軍がイラク政府の事前承認なしに行動を起こせること。アメリカがイラク空域を支配すること。外国からの攻撃に対してアメリカはイラクを防衛しないこと。これらがイラク政府と折り合いがつかないのです。確かに、非常にアメリカだけに都合のよい内容です。ブッシュ政権は来年、共和党政権が就任した時に備えて、やりやすい環境を整えておきたいのです。「食い逃げ」に近い話であり、これはもはやイラク政策を成功させるための方策とは言えません。イラク政府としてはこの条件で長期間の合意を締結することはできないと考えます。すると気になるのは、最終的にどんな条件で落着するのかという点です。あるいは、合意できないかもしれません。いよいよイラク政策も最終的な局面を迎えたのかという印象があります。
退役陸軍中佐が国防総省の契約に関する汚職で有罪を認めたという記事も掲載されています。レボンダ・J・セルフ中佐(Levonda J・ Selph)は、イラクに倉庫を建設する年間予算1千2百万ドルに関して機密情報を漏らし、業者から現金4,000ドルを受け取り、5,000ドル分のタイ旅行(中佐の妻を同伴)の旅費と宿泊費を負担させました。裁判で業者の名前は明らかにされていません。日本ではあまり報じられませんが、米軍の汚職事件はそれほど珍しくありません。士官学校生の強姦事件も意外に多いのです。