アメリカで1960年代に行われた細菌・化学実験に関する調査が始まっています。ジャック・アンダーソン退役海軍少佐は、自分が参加した実験が被害を引き起こしているかもしれないと述べていると、military.comが報じました。
現役時、アンダーソンは上官から実験について口外しないよう命じられていましたが、1993年に実験に参加した500人の半数以上が死亡したり、癌や呼吸困難、その他の病気にかかっていることを知りました。彼自身、皮膚癌、アレルギー、慢性疲労に悩まされています。これらの事実が彼に実験の存在を公言するよう促しました。現在、この件は米議会で調査中です。
アンダーソンが参加した実験のひとつでは、5隻の小型のタグボートに生物剤を散布した後、現在は発ガン性が認められている溶剤で洗浄したといいます。
国防総省は実験と症状の因果関係を立証するのは難しいとしています。国防総省によると、1962年から1973年の間に、プロジェクト112とプロジェクトSHADの下で50回のテストが行われ、6,440人の隊員が参加しました。それには半ダースの州で行われた大気中でのテストが含まれています。
冷戦の悪夢が復活したような記事です。米軍が人体に有害な実験を行ってきたことはよく知られています。原子爆弾の開発中に実験で被爆した軍人や民間人は大勢います。それも事故ではなく、計画された実験の結果としての被爆です。機密とされた実験はいまだに実態が明らかではありません。通常兵器や核兵器と違い、化学・細菌兵器の戦力は秘匿した方が有利であるため、その実力を推し量るのはとてもむずかしいのです。
こうした化学兵器や細菌兵器を散布するのに最も適しているのが、先に禁止条約が成立したクラスター爆弾だということも憶えておきましょう。まんべんなく攻撃力を展開できるクラスター爆弾は、広く薄く散布すべき化学兵器には特に向いています。不発弾だけの問題ではないことに注意が向けられるべきなのです。
話は変わりますが、イギリスでアルカイダやイラクに関する機密書類が電車の中に置き忘れられ、あとで乗客によって発見されるという珍事が起こりました。(記事はこちら)