マレン大将:アフガンには増員が必要

2008.6.25



 military.comによると、マイケル・マレン海軍大将(Adm. Michael Mullen)が、タリバンと戦い、アフガニスタン軍を訓練するために、3個旅団をアフガンへ派遣する必要があると述べました。

 「我々は兵数が足りない。私は少なくとも追加として3個旅団を、その内のひとつは訓練旅団として必要とする」と述べました。1個旅団は約3,500人の兵数を持ちます。イラクでテロ事件が減ったと思っていたら、アフガンでは今月、すでに32人の兵士が戦死しており、今年最多となっていたのです。ドイツの将官も最近、NATO軍はアフガンを安定させるために6,000人を増員する必要があると述べたばかりでした。現在、ISAFは18ヶ月前の33,000人から増員し、40ヶ国の兵士53,000人を擁しています。それでも、なおかつ兵数が足りないというわけです。

 最悪のニュースです。米軍はさらに10,500人が必要だと考え、NATO軍は6,000人が必要と言うわけです。アメリカは大統領選挙を控え、いま派兵したくないでしょうが、そうせざるを得ないでしょう。ベトナム戦争でも現地から再三の催促があり、兵を送り続けました。このように、現地司令部と本国政府は互いに負のスパイラルに入ることがあるのを忘れるべきではありません。現地司令部は本国政府に対する責任から増員を要求し、本国政府は現地司令部に対する責任から増員を承認してしまうのです。戦争全体を統括し、コントロールする人がいない状態になれば、実は、これこそ無政府状態みたいなもので、戦争に歯止めがかからなくなった状態だと言えます。

 マレン大将の本音は、3個旅団どころではなく、もっと増派したいのだろうと想像できます。こうした泥縄式の増派はいくら繰り返しても、目標は達成できないものです。そもそも、アメリカの目標はタリバンの掃討ではありません。貧困層の代表であるタリバンなど、アメリカの脅威にはなり得ないのです。本当の狙いはアルカイダであり、その指導者層を殺害したところで、代わりの者が出てくるだけかも知れません。それなのに、タリバン相手に四苦八苦しているのが実状なのです。

 そんなところへ、日本政府は自衛隊を派遣しようと、調査団を送り込んでいます。どんどん悪い方向へ向かっていることを、政府関係者は理解しているのでしょうか。 

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