電子メール事件の真相が判明

2008.6.5



 先月、予算を節約するために復員軍人援護局の職員がPTSDで診断するのを避けるように電子メールで指示した事件を紹介しました(記事はこちら)。問題の電子メールを出した職員が反論したとmilitary.comが報じました。

 その職員、臨床医ノーマ・ペレス(Norma Perez)は、単にスタッフにストレス症状は適応障害でもあり得ることを思い出させたかっただけだと主張しています。PTSDと適応障害の症状は似ていることが多く、PTSDかどうかを判断するために時間をかけてテストをするよりは、まず適応障害として診断して、すぐに治療を始める方が患者のためになると言いたかったのだけど、表現が不適切だったっというのがペレスの主張です。上院復員軍人委員会と同局の検査官はこの事件を調査中ですが、この線で幕引きになる感じがします。

 なるほど、これが真相かと思いました。真相を隠蔽しようとしているようには見えません。こうしたことが問題になるのは、傷痍軍人の待遇がしばしば劣悪になるためです。ウォルター・リード病院での事件は有名ですし、無償で治療できる傷病の範囲を減らしたりします。だから、退役軍人の圧力団体はこうした徴候があると敏感に反応します。意識が高い故の誤解という奴でしょう。

 話は変わりますが、イラク北部で動きがあったので紹介しておきます。4日早朝から3時間、クルド人の住むスレイマニヤ州のビンジュインの村に対してイラン国内から砲撃が行われたと、military.comが報じています。砲撃が行われた理由は書かれていません。今回の攻撃が単発で終わるのか発展するのかも、現段階では何とも言えません。クルド人がイラン領内で活動することに対する措置なのは間違いがないでしょう。しかし、その詳細が分からないので検討しようもありません。イランがイラク北部の戦いに参入した場合、アメリカの対応はより難しくなります。それが心配されます。

 それから、サイクロン被害救援のためにミャンマー沖合で軍事政権の許可を待っていた米海軍が帰投をはじめたという記事も報じられています。今回の大規模災害は、「保護する責任」よりも当事国の許可がないと領域内には入れないという原則が優先された結果となりました。この教訓は今後に生かす必要があります。この事実を踏まえて、国際的な取り決めを協議すべき時です。

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