トルーマン大統領が軍の人種差別を撤廃してから60年経っても、未だに黒人の上級将校は少数だと、military.comが報じました。
黒人の軍人は、全軍では約17%、全将校の中では9%、将官に限ると6%未満です。5月の段階で、38人いる四つ星の将官(大将)の中に黒人は1人しかいません。国防総省によると、これまで大将に任命された黒人は10人(陸軍5人、空軍4人、海軍1人)だけです。全将官では923人の黒人が任命されており、これは5.6%です。中将は8人。少将は17人。准将は26人で、その内3人は女性でした。記事には他にも色々な数字が書かれているので、興味のある方は読んでみてください。
アメリカのゴルフや射撃などのスポーツ界には、圧倒的に白人が多いといいます。これらは白人の趣味とされていて、黒人が参加することが難しいのです。軍人にも似たようなことが言えます。記事に引用されている、ジョニー・E・ウィルソン大将(Gen. Johnnie E. Wilson)は、黒人でありながら兵卒から大将まで叩き上げた人物です。それでも、陸軍資材軍(the Army Materiel Command)という、後方支援部隊の指揮官に留まりました。現在、黒人男性に続いて、白人女性がこうした部門の上級指揮官に任命される時代が来ています。それでも、まだ軍隊の将校は白人というイメージが強いのは驚きです。
映画「父親たちの星条旗」に対して、黒人の映画監督スパイク・リーが「硫黄島作戦の映画に黒人がひとりも登場しない」と文句を言ったのは、こうした背景があるためです。映画「フォレスト・ガンプ」に、主人公ガンプの上官は代々軍人で、独立戦争からずっと戦場に出続けているという設定があります。第2時世界大戦では、こうした古くからアメリカにいる白人が指揮官を務め、兵士は後から来た移民たちだったという話があります。こういう歴史が黒人の進出を拒んでいるのかも知れません。軍隊のような保守的な組織は、変化が起きるのもゆっくりです。黒人、白人女性の問題は解決しつつありますが、同性愛の問題はこれからです。その次が何かは分かりませんが、時代の要請によって、軍隊はゆっくりと変化し続けるでしょう。