民間軍事会社(PMC)に関する報道がふたつあります。ひとつは、ブラックウォーター社(Blackwater Worldwide)が警備業務から撤退する記事。もうひとつは、PMCによる軍事訓練に関し、ロバート・ゲーツ国防長官が評価を出すよう指示した記事です。
今後は、軍事訓練、空輸とロジスティクスに集中するということです。ゲーリー・ジャクソン社長(Gary Jackson)は、「警備業務は常にマスタープランの一部ではなかった」と述べました。PMCが歯の浮くようなコメントを発するのはいつものことですが、今回も白々しい話をするものだと思いました。記事によれば、BW社はアメリカの外交官を警護し、2001年以降、10億ドル以上を得た企業のひとつです。2005〜2006年には、外交官の警護とハリケーン・カトリーナ被災地の警備業務が企業全体の50%以上を占めました。BW社が批判を浴びるようになった現在、その割合は30%まで下がり、今後はもっと減るとジャクソン社長は言います。
PMCによる一種のバブルも、そろそろ弾けるようです。要するに、イラクとの安保協定でPMCに対する免責がなくなる見込みが立ったこと。バグダッド市内での乱射事件で、すでにBW社が基礎に直面しており、今後、訴訟が続出する恐れが出てきたことが、警備部門から手をひく理由に違いありません。もちろん、ジャクソン社長はそんなことは一言も口にしていません。
警備員が元特殊部隊の隊員が大金を稼げるチャンスも小さくなるでしょう。PMCへの転職希望者も減り、軍の人材難も少しは緩和されることでしょう。
さらに、PMCによる軍事訓練についても、軍の手に戻される可能性が出てきました。ゲーツ国防長官は、モヨック社(Moyock)、BW社による軍事訓練について、報告書を出すように統合幕僚議長マイク・マレン海軍大将(Adm. Mike Mullen)に命じました。
「なぜ、我々は戦闘やその関連の警備訓練を提供する請負業者をあてにするようになったのか。我々はこの慣習でいて快適なのか?」。ゲーツ長官が書いた覚え書きは、明らかにPMCによる軍事訓練に対して懐疑的な評価を示しています。
民主党のジム・ウェッブ上院議員(Sen. Jim Webb)は、BW社がサンディエゴで海軍に対して行っている訓練は、元々は3千6百万ドル以下の金額だったのに、6千4百万ドル近くになっていると指摘しました。元海軍長官の彼にとって、こうした状況は異常に見えるのでしょう。
この報告書が公表されるのが楽しみです。これまでどれほどの費用がPMCによる訓練に費やされているのかを見れば、実はPMCが金食い虫であることが分かるはずです。やっと、この異常な戦争バブルが正常な方向へ向かいはじめたのだと思い、ほっとしました。対テロ戦争には問題が多すぎますが、少しずつ改善されていくことになりそうです。