B-52爆撃機の核爆弾輸送事件に続いて、またしても米空軍が大失態をやらかしたようです。7月12日、ノースダコタにある第91ミサイル団(91st Missile Wing)のミサイル発射基地で、発射コードを保持している間にクルーが居眠りをしたと、military.comが報じました。しかし幸いにも、事件が起きた時には発射コードはすでに無効になっており、危険はなかったということです。
「発射コード」は、クルーがミサイルと通信をする時に必要な暗号で、金属製の大きな箱に入っています。箱にはクルーにしか開けられないダイヤル錠がついています。発射コードがないと、ミサイルに指示を出すことができません。逆に言うなら、発射コードがあれば、ミサイルを操作し、発射もできるわけです。
事件は4人のクルーが勤務に就いていた時に起こりましたが、クルーの1人は現場にいませんでした。彼らは、核ミサイルを発射する地下の管制センターの上にあり、クルーの休憩所があるミサイル警戒施設にいました。そこで3人のクルーが基地に戻るのを待っている間に居眠りをしたのです。どれだけの時間寝ていたのかは明らかではありません。調査の結果、発射コードは箱から出されておらず、基地は警護兵によって守られていたことが明らかになりました。
状況から見て、勤務を終えたクルーが、基地に戻る迎えが来るのを待っている間に眠り込んだということですから、彼らと交代したクルーがすでに任務に就いており、核ミサイルが誤って発射されるような事態ではありませんでした。しかし、居眠りをしたのは規則違反です。これは、歩兵が車両に乗っている間に寝るのと違い、ミサイル基地のクルーにとっては致命的なミスです。それも3人揃ってとは前代未聞です。彼らは疲労によるミスを防ぐために、勤務時間が限られており、その環境の中で寝ることは許されません。彼らには、発射コードを返却するまでが仕事なのです。
弾道ミサイル基地の中は滅多に公開されないので、現状を知る方法はあまりありません。だから、居眠りの原因は推測するしかありません。決まったルーチンをこなす任務だから、時には眠気を誘う場合があるとか、逆に、緊張を強いられる任務だから開放感から寝てしまったといった理由が考えられます。はっきりしているのは、関係者にはかなり厳しい処罰が下るということだけです。