今年1月、グリーン・ベレーのライアン・マセス軍曹がシャワーを浴びている最中に感電死した事件で、米国防総省はKBR社(KBR Inc.)に責任があるという証拠はないと、中間報告書に書いているとmilitary.comが報じました。最終的な報告書は11月までに提出されます。
報告書によれば、マセスの兵舎の屋根の固定されていない給水ポンプが故障して、配水管に漏電を生じ、さらに、屋根の修理に使われたタールがパネルに漏れて、ブレーカーが故障したのが事故の原因です。マセスの母親はKBR社を告訴しています。彼女の弁護士は、この結論は彼が存在することを知っている証拠を無視しており、KBR社に責任があるという見解を変えるものではないと説明しましたが、詳細は語りませんでした。
国防総省報道官は、民間軍事会社に責任があるという見解は誤解であり、間違っていると主張しています。今月29日に上院委員会に提出された覚え書きによれば、KBR社は2007年2月27日に、マセスが住む兵舎のメンテナンスを行う仕事を与えられました。しかし、このメンテナンスは限定的なもので、軍の要請がなければ、点検や予防処置、アップグレードを行わないものでした。おまけに、防衛契約管理局は、マセスの兵舎に潜在的な欠陥があることを知らなかったと、中間報告は書いています。
見事な官僚組織の不作為のためにマセス軍曹は命を落としたわけです。防衛契約管理局は「屋根の欠陥さえ知っていればKBR社に直させたのですが」と言い、KBR社は「私どもは防衛契約管理局から何も聞かされておりません」と言います。軍施設の欠陥を判定し、修繕をする部署がない問題について、報告書は何も書いていないのでしょうか? 感電事故が起こるまで、何の調査もしないのが米軍のやり方だと言うのでしょうか? 背景には、急に増えたイラクの駐屯地の施設をすべて管理する人員がいなかったといった問題もありそうです。事故が起きた以上、原因があるはずです。それを見つけだそうとする意志が、報告書から感じられないのが気になります。
この事件はまだ情報が不十分です。防衛契約管理局は異常を見つける努力をしたのかどうかや、KBR社が請け負った作業の詳細を知る必要があります。それらを見れば、異常に気がついて当然だったかどうかが判断できるかも知れません。