退役軍人のホームレス化に対策

2008.7.8



 military.comによると、ボストン地域のホームレスの退役軍人に245件の家賃援助が与えられることになりました。この地域では1,950人の退役軍人が家を持っていません。全国的には、154,000人の退役軍人がホームレスになっているとみられています。

 住宅・都市開発省には10,000人のホームレスに対して、7,230万ドルの住宅助成金を与える計画があり、ボストンの試みはその一環です。この制度は、退役軍人の収入の30%以下の範囲で住宅を賃貸することを助けます。同じ制度が1992年に実施されたことがありましたが、3年間で中止させられていました。

 全米のホームレスの退役軍人の数は、陸上自衛隊の全隊員数に近いといえ、日本人には理解しかねるところです。

 全米のホームレスの退役軍人の数は、陸上自衛隊の全隊員数に近いといえ、日本人には理解しかねるところです。退役軍人援護局の説明によると、成人のホームレスの3分の1が退役軍人です。ベトナム戦争時代のホームレスの退役軍人は、この戦争で死んだ軍人の数よりも多いのです。今回の措置がすべて行き渡っても、恩恵を受けられる人が1割にもならないことには驚かざるを得ません。

 なぜ、これほど多くの退役軍人がホームレスになってしまうのかは不思議です。復員軍人援護局の説明では、PTSDが大きく関係しています。45%のホームレスの元軍人は何らかの精神疾患を持っており、70%がアルコール中毒です。一般のホームレスよりも、ホームレスの退役軍人の方が教養が高い場合が多いことも分かっています。多くは、戦闘ストレスが原因と考えて差し支えないでしょう。また、56%がアフリカ系、ヒスパニック系ということは、就業における人種差別の影響が考えられます。こうした事実によって、勇敢な兵士を応援したいとしか思わない米国民が、少しでも考えを変えてくれることを願います。似たようなことは、兵器の性能にしか興味がない日本の軍事オタクたちについても言えるでしょうね。  

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