military.comによると、統合幕僚議長マイケル・マレン海軍大将(Adm. Michael Mullen)が、イラクを訪問し、かつては武装勢力の巣窟だったサドルシティを訪問しました。
マレン大将はヘリコプターでサドルシティに入り、市場を散策しました。彼のコメントは当然、治安の向上をアピールし、関係者の労をねぎらう内容です。「並はずれた進歩だ」「数ヶ月前はサドルシティに誰も入れなかった」「最近まで危険だった通りを公然と歩けた」「強く勇気づけられる」。議長のこれらの発言は額面どおりには受け取れません。イラクでの成果をアピールするために、治安が最もよい時期を選んで訪問しただけです。
不思議なことに、AP通信が配信したこの記事には写真が添付されていません。普通なら、大将がサドルシティを歩く写真を掲載しないことには記事にならないはずです。通信社のカメラマンが無理なら、米軍のカメラマンが撮影して提供するはずです。そこで、米国防総省のサイトを見たら、やはり掲載されていました(写真はこちら)。しかし、それには防弾ベストを着て、護衛に取り囲まれて、人気のない通りを歩く議長が写っているだけでした。むしろ、隣にイラク兵らしい人物が写っているのが目を惹きます。本当に街が安全なら、民間のカメラマンを同行させたでしょうし、写真を報道機関に提供したはずです。この訪問はアピールしたいけども、報道機関に自由に評論させたくないという思惑があるように見えます。確かに、この写真では無理もありません。だから安全といっても、ミリタリーレベルでの話と受け止めておくべきです。