CIAがパキスタン情報部を非難

2008.8.1



 military.comによると、CIAは、先月、アフガニスタンのカブールにおけるインド大使館における自爆攻撃などを実行した武装勢力とパキスタンのスパイ組織が深いつながりを示す証拠を示して、同組織と対立しています。この情報源は識別できない軍と情報部の高官です。

 先月12日、CIA副長官スティーブン・R・カッペス(Stephen R. Kappes)は、マイク・マレン海軍大将(Adm. Mike Mullen)と共に、パキスタンの統合情報局(Inter-Services Intelligence agency: ISI)とトライバルエリアの武装勢力とのつながりを示す証拠を携えて、秘密裏にイスラマバードを訪問しました。そのタイミングは7日に起こったインド大使館の自爆攻撃事件(58人が死亡)の直後で、2人はパキスタンの文官および軍高官と会談したとされています。CIAは、この関係が、パキスタンの軍・情報部の上層部と防衛機構の外れ者グループとのいずれとつながっているのかは分からないとしています。

 インド大使館への攻撃は看過できないと、アメリカは考えたのでしょう。自爆犯から実行した武装勢力が特定でき、その武装勢力は以前からパキスタン情報部と関係があることが知られていた組織だったということです。客観的な証拠もあったので、米軍と情報部の高官が、わざわざイスラマバードまで出向いたという話です。爆弾事件後、アフガン政府がパキスタンを非難した時、パキスタン政府は事件の責任はアフガンにあると反論しました。このまま放置すると両国間の対立が深まるので、高官2人が訪問して説明したのです。

 しかし、証拠を突きつけて説得する方法がイスラム教の人たちに効果があるかどうかは疑問です。パキスタンのヨサフ・ラザ・ジラニ首相(Yousaf Raza Gilani)は、アメリカを訪問中にテレビ番組に出演し、「ISIと武装勢力の関係は信じられないし、我々はそれを許さない」と述べています。彼が実態を知らないとは信じられませんし、彼が欧米に近い立場だった故ブット氏の側近だったことを考えても、本音は聞き出せないものだと思います。

 パキスタン情報部が武装勢力とつながっているのは昔からの話です。そもそも、アメリカがパキスタンと手を組み、テロとの戦いを共闘していくというコンセプトが、最初からナンセンスなのです。日本政府は、こうしたことに無知な日本国民を騙して、インド洋で給油活動を行えば、武装勢力は麻薬や武器を運ぶことが出来なくなると説明し続けています。これほど馬鹿な話はありません。こんな話でも、御用ジャーナリズムの支援を受けて、国民に周知させられるのが日本という国の情けないところです。

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