小銃部品不法輸出事件について、まったく矛盾する情報が出てきました。the-news-tribune.comによると、飯柴智亮大尉が照準器を送ったのは、自衛隊だけではなく、仕事の関係者にも送っているということです。一方、石破茂防衛大臣は、独占的販売代理権を付与されている国内企業が輸入した可能性を示唆し、まったく異なる見解を述べています。
まず、前者の記事から紹介します。
記事によると、大尉が暗視装置(照準器)を送ったのは「日本国内の個人と仕事上の関係者(individuals and business contacts in Japan)」です。これらが誰なのかは明らかにされていません。
また、上部レシーバーについて、この記事は「ペイントボールに似た模擬戦闘ゲームの関係者が使用するエアソフト用の兵器用に改造する火器の部品と多種類のスコープ照準器」だったと書いています。(下記参照)
He also shipped firearm parts modified for Airsoft weaponry used by participants in a simulated-combat game similar to paintball and various scopes.
「ペイントボール」は、アメリカで流行った塗料が入ったボール弾を撃ち合うゲームのことです。これが日本で「サバイバルゲーム」となって流行したわけですが、「エアソフト」というのは、そのアメリカでの名称です。アメリカ生まれの「ペイントボール」が日本で「サバイバルゲーム」となり、エアソフト」としてアメリカに逆輸入した形です。これを読む限りは、本物の小銃に取りつけることで、エアソフト用銃に変更するための部品のように思われます。アメリカでも、日本のエアソフトガンによく似たものは製造されていますが、それは銃全体として販売されており、上部レシーバーだけの製品は、今のところ見つけられていません。
この記事は、大尉が故意に税関用紙に品物を正しく記入しなかったことを認めたと書いています。それは、これらの品物を輸出するには輸出許可がいるためで、それを手に入れるには時間がかかるのを避けたかったのだと推測できます。
大尉はアメリカの税関を通過すれば問題はないと考えていたのですが、同じ検査が東京で行われることを知らず、事実、東京の税関が問題点を発見して、事件が発覚したのです。大尉の行動は、私には理解し得ることです。アメリカの税関は「銃器部品」と書いて輸出しようとすると、却下して、品物を送り返してくることがあると聞きます。大尉は、そういうトラブルを避けたかったのでしょう。もちろん、これは違法行為です。
判決公判は11月7日に開かれます。前回、私は大尉が検察官に対して罪を認めただけだと勘違いし、審理公判が開かれるように書きました。記事を読み直したら、法廷で認めたと書かれていることに気がついたので、次は判決公判となります。前の記事も書き直しました。大尉が経緯をすべて説明したことにより司法取引が成立しており、検察官は判事に執行猶予3年を宣告するよう要請すると考えられています。大尉の弁護士ロバート・リーン(Robert Leen)は、連邦裁判所の判決の後で、陸軍による懲戒処分が行われる可能性があると見ています。
防衛庁の正式な発表は未だにありませんが、7月29日に行われた石破茂大臣の記者会見では、まるで違う内容が披露されました。防衛省のウェブサイトに掲載された会見の内容を以下にそのまま転載します。