軍人の寄付金でもオバマ氏が優勢

2008.8.16



 military.comが、軍人の大統領候補者への寄付金の額が、ジョン・マケイン氏よりもバラック・オバマ氏の方が多いという調査結果を報じました。

 200ドル以上の寄付金について調べた「the Center for Responsive Politics」の調査によると、海外に派遣中の兵士からの寄付金総額は、マケイン氏よりもオバマ氏が6倍も多いのです。

調査対象の全軍人
候補者名
人数(人)
金額(ドル)
オバマ
859
335,536
マケイン
558
280,513

寄付した時に海外派遣中の軍人
候補者名
人数(人)
金額(ドル)
オバマ
134
60,642
マケイン
26
10,665

 もっと驚くのは、共和党のロン・ポール氏(Ron Paul)が海外勤務の軍人99人から受け取った寄付金45,512ドルは、マケイン氏の4倍だったということです。

 戦争経験者のマケインが、未経験のオバマよりも軍人に人気がないわけです。これではもう、戦わずして勝負はついているようなものです。軍人が怒っている時は選挙には勝てないのがアメリカです。それも、海外派遣の軍人がオバマに寄付していることを考えると、戦争の影響が大きいことが分かります。寄付金を出した人は、よほどのことがない限り、政治家を鞍替えすることはありません。軍人全体では差が縮まるのは、戦闘とは関係のない部隊の隊員が寄付するからです。彼らは戦闘ストレスから遠いところにいるため、まだ戦争を続けたいとする候補者を支持するのです。

 オバマ氏が大統領になることで、対テロ戦の流れは変化します。もっとも、大きな勝利はすでに失われており、大統領が交代しても覆すことはできません。しかし、最悪の状況は防げるかも知れません。また、同性愛差別問題の解決が前進するなど、米軍内部の変化を促進することが期待されます。

 自民党筋からは、マケインが大統領になることが望ましいという声が聞こえてきます。誰が大統領になっても困らない戦略を考える政治になって欲しいものです。


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