ゲーツ長官が米軍事力のグルジア支援を否定

2008.8.16



 military.comによると、グルジア兵が担当していたクート(Kut)近くの検問所は、イラク兵によって引き継がれました。また、ロバート・ゲーツ国防長官はグルジアへの米軍投入を公式に否定しました。米軍は活動を人道的支援に限ると宣言したのです。この宣言をもって、ロシアの勝利は確定的になりました。(記事はこちら

 ヘリテージ財団のロシア専門家、アリエル・コーエンの「The empire strikes back」というコメントが笑えます。これは映画「スターウォーズ」第2作「帝国の逆襲」のタイトルでもあります。アメリカはこれまでロシアを対テロ戦のパートナーとしてきました。この連合が上手く行くとは思えませんでした。パキスタンの場合にも同じことが言えます。米政府は自国民に、よいパートナーが見つかったかのように説明し、メディアもそれを追認するものだから、こうした誤りが繰り返されることになります。

 別の記事によると、グルジア共和国には、訓練教官や大使館の警備兵として、まだ100人の米兵がいます。停戦協定は、ロシア軍に戦闘発生前にいた位置に駐留し、一時的に10kmまでパトロールを行うためにグルジア側へ侵入することを認めています。

 アメリカが大きな行動を取れないため、ロシア軍による南オセチア占領は既成事実化しました。21世紀に古めかしい権謀術数を見たくはありませんでしたが、これは対テロ戦がはじまった時から、様々な人が指摘してきたことです。アメリカが対テロ戦にかまけている間に、他の国が勢力を伸ばそうとすると主張しても、当時は対テロ戦に反対するための方便とみなされ、耳を貸してもらえませんでした。アメリカの対テロ戦を無条件に支援する人は、こうした現状をどう評価しているのかを聞いてみたい気がします。

 グルジアが、ロシアが南オセチアで民族浄化を行ったと国際司法裁判所に提訴したため、今後は法廷論争が行われます。また、ロシア軍がクラスター爆弾を使用して犠牲者が出たことも指摘され、国際的な非難が予測されています。こうした、戦地から離れた場所で進行する問題と現地の問題が、今後、展開されていくことでしょう。


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